金子恭之国土交通大臣は12月19日、北海道新幹線(新函館北斗―札幌間)に関し、現時点の想定として事業費が最大約1.2兆円増加する恐れがあるとの報告を鉄道・運輸機構から受けたことを明らかにした。これを受け、国土交通省として事業費の改めての精査や、費用縮減策の検討などを指示した。
北海道新幹線札幌延伸は、2012年に着工し、現在、トンネルや橋りょうなどの工事が進められている。一方、今年3月に公表された有識者会議の報告書では、足元の物価高騰や工程遅延、工程短縮策の実施などが事業費に与える影響について、工事の進捗と併せて注視すべきとされていた。
こうした指摘を踏まえ、鉄道・運輸機構が事業費の精査を進めた結果、現時点では最大1.2兆円の増加が見込まれる可能性があると報告した。
金子国交相はこの報告を受け、鉄道局に対し、以下の4点を指示した。
①開業時期の見通しには相当程度の不確実性が残ることに留意しつつ、有識者の知見も得ながら改めて事業費を精査すること
②開業時期に影響を与えない範囲での事業費縮減策を検討すること
③沿線自治体など関係者に対し、事業費増加の理由や精査状況について丁寧に説明すること
④沿線自治体やJR北海道などと一体となり、早期完成・開業を目指すこと
その上で金子国交相は、北海道新幹線の整備には難工事への理解と工事の円滑な推進に対する沿線自治体などの協力が不可欠と強調。「国土交通省として、引き続き関係者の理解と協力を得ながら、一丸となって北海道新幹線の整備を着実に進めていく」との姿勢を示した。
※メインビジュアルは金子国交相(就任会見時)