まもなく波乱含みだった2025年も仕事納めになります。前回のコラム(介護離職、https://tms-media.jp/posts/74140/)の続きについて考えていきましょう。
介護離職に陥りそうだった時、考えるポイントは3つです。「自分自身の生活の中でどれだけ介護のために時間を捻出できるか」「高齢のご家族自身は介護費用を自力で捻出できるか?経済的に自立しているか」そして「1人で、もしくは同居している家族だけではもはや生活が成り立たないのか」ということになります。
まず、高齢のご家族に向けた介護が始まるなら、何らかの形で時間を割きます。受診の付き添いや、行政ないし介護事業者との打ち合わせや問い合わせ、緊急時の判断や対応の要請など、常日頃準備を進めていても時間は取られていくものです。ここ近年はリモートワークの有益性が認知され、各職場では介護者となった社員へのリモートワークの許可が出やすくなっています。職場環境が持つ福利厚生を活かしながら、時間を有効に活用してなるべく職場を離れずに対応を継続したところです。
その次に、高齢のご家族自身の経済状況でしょうか。なるべくこれまでの生活を継続させるのが大前提です。(特に認知症が進行しないためにも)。ご本人が今後の生活に当たって、生活レベルをさらに上げたり、不要不急なサービスを希望したりしてしまうと、一気に生活がひっ迫しかねません。そのような事が無いよう、家族全体で常日頃から話し合いも必要でしょう。もちろん、介護者となったご自身の経済状況がひっ迫することがあってはなりません。ポイントは無理のない支出が続けられる「身の丈」でです。費用捻出に困らない、経済的に続く介護を目指して頂きたいものです。
高齢のご家族が誰と住んでいるかも重要です。独居であれば、もちろん皆さんも気にされるでしょうが、同居されている方も高齢だと、有事の際の対応力に課題を残します。また、同居されている方が若くとも、並行して子育て(=ダブルケア)があったりすれば、介護への対応で負担を増大するわけにも行かないからです。同居する方の負担をどれだけ減らせるかも重要です。
後は、恥ずかしがらずに、介護が始まったことは「公表」されることをお勧めします。何か手伝って欲しいわけじゃないにしても、突然時間が必要になったりして、周囲にご迷惑をおかけしてしまうのも事実ですし、介護経験のある方が話の「聞き手」になってもらえたりするかもしれません。
独りにならず、できる限り連携と共有を目指すことが、介護離職回避には大切なことではないでしょうか。
寄稿者 猪股透人(いのまた・はやと)シーキューブ㈱ https://c-cube.life/