田川市内の炭坑から石炭を輸送するルートは、直方までの旧国鉄伊田線(現在の平成筑豊鉄道)と日豊本線の行橋駅と結ばれている旧国鉄田川線(こちらも平成筑豊鉄道)である。そして、旧田川線は行橋から苅田港へ良質の石炭は運ばれていったという。
森に向かう列車に乗って
今日は、行橋から途中赤村の「源じいの森」に向かうこととする。源じいの森駅は、平成筑豊鉄道に移管されてからの駅であり、こじんまりとした駅だ。そのため、列車を降りると目の前は、既に源じいの森である。また、その両端には、国鉄時代からの九州島内最古の木造・油須原駅や崎山駅が存在する。崎山駅からは、一気に上り坂を越え、九州最古の第二石坂トンネルを抜けると源じいの森である。
源じいの森(https://www.genjii.com/)

日帰り入浴花盛り
さて、昨今、日帰り入浴施設は、全国各地で人気の的である。食事と宿泊施設を併設したものも多く、近隣住民だけでなく、宿泊客も少なくない。その中でも源じいの森は、入浴施設に年間16万人が来訪する。赤村の人口は約2,500人。そう考えると、抜群の集客力だ。
そのため、駐車場には、福岡県下ナンバーのほかに他県からのものも多い。また、本館の宿泊施設と蛇行する今川沿いに作られたキャンプ場の宿泊客が多いのにも驚かされる。
加えて、キャンプ場の朝は早い。日が昇った頃には、既に火起こしを済まして、デッキチェアーで読書にいそしむ人や水辺でたわむれる人もいる。また、6時台の始発列車がガタゴトと鉄橋を抜けていく姿を写真に収めるものもいる。その瞬間、この「森」は時間を越えた異空間となっている。


宿泊施設の広域連携、これから望まれること
筑豊地域には、大規模な宿泊施設を保有している自治体が少ない。ビジネスで来訪されるお客様を対象としたホテル旅館がある程度で、団体客を受け入れるものは皆無に近い。そのため、宿泊施設を併設する観光施設に焦点が当たっている。源じいの森だけでなく、豊前川崎町のラピュータファームなども果樹園が併設され、そこで栽培された野菜が提供されるレストランもある。
ラピュータファーム(https://www.laputa-f.com)
この記事の序章で、教育旅行誘致の展開を検討してきた。このように大規模な宿泊施設がなくとも、クラス単位の宿泊や分割実施などの可能性も考えられる。まずは、近隣の小中学校の宿泊行事、そして、福岡県下の中学校や高等学校へ視野を広げると、自然に触れる体験は、大都市圏の子供たちにとって、新しいものとなろう。
筑豊の単一の自治体だけでなく、面で捉えた広域連携を早急に進めるべきである。まずは、三都連携、そして、近隣の町村が加わることによって、平成筑豊鉄道の存続にもつながるものと考える。
(つづく)

(これまでの特集記事は、こちらから) https://tms-media.jp/contributor/detail/?id=8
取材・撮影 中村 修(なかむら・おさむ) ㈱ツーリンクス 取締役事業本部長