横山大観記念館(東京都台東区)は1月8日から3月29日まで、開館50周年を記念した「霊峰の美 ― 大観が描く富士」展を開く。近代日本画の巨匠・横山大観(1868–1958)が描いた富士山主題の作品群を集めた企画展で、歌舞伎座第一緞帳の原画「霊峰飛鶴(れいほうひかく)」を5年ぶりに展示する。
「霊峰飛鶴」は、大観が雄大な富士と鶴を融合させた代表作の一つ。制作の場となったのが、旧宅内に残る画室で、大観自身の設計・指導のもと創作活動が行われた。現在は国史跡・名勝として保存・公開され、当時の生活と制作が一体となった空間を伝える。
記念館は畳敷きの展示室を備え、床の間に掛け軸を飾る伝統的鑑賞様式を再現している。2階画室の館内案内ビデオでは俳優・生田斗真がナレーションを担当し、旧宅と庭園、作品の背景を紹介する。開館50周年の節目で、富士に託した横山大観の自然観と日本的美意識を伝える。