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訪日客4,268万人で過去最多、消費額9.5兆円に 観光庁・村田長官「量と質の双方を伸ばす」

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観光庁の村田茂樹長官は1月21日の定例会見で、2025年の訪日外国人旅行者数および旅行消費額がいずれも過去最高を更新したと発表した。訪日客数は年間で約4,268万人と初めて4,000万人を突破し、訪日外国人旅行消費額は約9.5兆円に達した。村田長官は「官民の取り組みの積み重ねが成果として表れている」と述べるとともに、今後は量的拡大に加え、地域分散や受け入れ環境整備を通じた持続可能な観光の実現が重要になるとの認識を示した。

12月単月も過去最高、欧米豪・中東が牽引

2025年12月の訪日外国人旅行者数は約362万人となり、12月として過去最高を記録した。前年同月比では約4%増となる。年間を通じてはアジア市場が全体の約8割を占める一方、欧米豪および中東地域からの訪日客が前年同月比で2桁増となるなど、インバウンド市場の多様化が進んでいる点が特徴だ。

一方、中国からの訪日客数は12月に約33万人と、前年同月比で約45%減少した。これについて村田長官は、インバウンドは多様な要因の影響を受けるとした上で、「今後の見通しについて断定的なことは差し控えたいが、引き続き状況を注視していく」と述べた。また、主要都市の宿泊単価については、中国からの需要減少後も「前年同時期と比べおおむね横ばいで推移している」との認識を示した。

インバウンド消費、四半期・年間ともに最高水準

インバウンド消費動向調査(速報)によると、2025年10~12月期の訪日外国人旅行消費額は約2.5兆円と、四半期として過去最高を更新した。年間では約9.5兆円となり、コロナ前の2019年(約4.8兆円)と比べて約2倍に拡大している。

国籍・地域別に見ると、中国、米国、台湾、韓国が引き続き大きな比重を占める一方、欧米豪や中東諸国からの消費額の伸びも目立つ。村田長官は、航空便の増加や滞在日数の長期化が需要を下支えしていると説明し、「特定市場への依存度を下げ、市場の多様化が進んでいることが、全体としての安定した成長につながっている」との認識を示した。

全目的の訪日外国人1人当たり旅行支出は、2025年年間で約22.9万円となり、前年から微増した。平均泊数が前年より約0.5泊増加したことが消費単価の底上げにつながっているとし、今後も滞在日数の延伸や地方部での消費機会の創出が重要になると強調した。

経済波及効果は約19兆円規模に

訪日外国人による消費は、宿泊・飲食など観光関連産業にとどまらず、製造業や農林水産業など幅広い分野に波及する。村田長官は、過去の傾向を踏まえると、訪日外国人消費額の約2倍程度が経済波及効果の目安になるとし、2025年の経済波及効果は約19兆円規模に達するとの見通しを示した。

国内外の人の動きも回復基調

アウトバウンドについても回復が続いている。2025年の出国日本人数は約1,473万人となり、前年から約13%増加した。国際線の便数増加や官民連携による海外旅行促進の取り組みが奏功しているとし、「回復基調が維持されている」と評価した。

次期観光立国推進基本計画、三本柱で検討

会見では、2026年度から始まる次期観光立国推進基本計画の検討状況についても言及があった。交通政策審議会・観光分科会での議論を踏まえ、①インバウンド受け入れと住民生活の質の確保の両立、②国内交流およびアウトバウンドの拡大、③観光地・観光産業の強靱化、 の三本柱を軸に検討が進められているという。長官は「方向性についてはおおむね了解を得ている」と述べ、引き続き議論を深めていく考えを示した。

観光予算拡充、オーバーツーリズム対策を本格化

2026年度予算では、国際観光旅客税の税率引き上げを背景に、観光関係予算が大幅に増額される。村田長官は、オーバーツーリズム対策を当初予算に位置付け、中長期的な視点で取り組める体制を整えた点を強調。広域連携DMOへの支援強化や地方誘客、交通基盤の機能強化などを通じ、特定都市への集中是正と地方分散を進める方針を示した。

また、海外教育旅行を通じた若者の国際交流促進や、日本人旅行者が安心して海外旅行できる環境整備など、双方向交流の拡大にも引き続き取り組むとしている。

成長の次段階へ、量と質をどう伸ばすか

質疑応答では、中国市場の動向や今後の成長の質に関する質問が相次いだ。中国からの訪日客数が減少している点について村田長官は、春節を含む今後の見通しについては「さまざまな要因が影響するため、断定的なことは差し控えたい」とした上で、地域別に見ると欧米豪や中東からの訪日客が大きく伸びており、「インバウンド全体としては好調な状況が続いている」との認識を示した。

また、2030年に掲げる「訪日客6,000万人」という量的目標と、1人当たり旅行支出25万円という質的目標の関係について問われると、長官は「2025年時点で1人当たり支出は約22.9万円となり、当面の目標である20万円を上回っている」と説明。平均泊数の増加が消費単価の押し上げに寄与しているとした上で、今後は滞在日数が長く消費単価の高い市場の誘客を進めることで、「量の拡大と質の向上の双方を伸ばしていきたい」と述べた。

さらに、大都市部への集中や人手不足といった供給面の制約については、宿泊施設の省力化投資支援や人材確保策を通じて対応する考えを示し、「受け入れ能力を高めながら、特定地域への集中を是正し、持続可能な成長につなげていくことが重要だ」と強調した。

今回の会見では、インバウンドの量的回復・拡大を前提としつつ、その果実をいかに地方や地域産業へ波及させていくかが主要な論点として浮かび上がった。数値上の過去最高更新にとどまらず、オーバーツーリズムへの対応や人材・受け入れ体制の強化を含めた「成長の中身」が、次期観光立国推進基本計画や2026年度以降の施策でどこまで具体化されるかが注目される。

取材 ツーリズムメディアサービス編集部

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