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地域の英知が集う、2026年北前船交流拡大機構・地域連携研究所が合同新年会を開催

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江戸から明治期にかけて日本海側の海運を支え、モノとともに人・文化・知を運んだ北前船。その精神を現代に引き継ぎ、寄港地連携と地域間交流による新たな価値創出を目指す北前船交流拡大機構と、〝地域間交流拡大〟を軸に地域活性化の課題解決に取り組む地域連携研究所は年1月16日、東京都文京区のホテル椿山荘東京で「合同新年会」を開催した。全国から自治体首長、中央省庁幹部、観光・交通・メディア・民間企業の関係者ら約150人が参加し、内陸と海、国内と海外を結ぶ北前船ネットワークの現在地と、次なる展開への期待を共有する場となった。

全国から集う「現代の北前船」関係者

会場には、北前船交流拡大機構および地域連携研究所の関係者を中心に、自治体トップ、国会議員、国土交通省・観光庁・文化庁の幹部、航空・鉄道・旅行・流通・メディアなど多様な分野のキーパーソンが集結。2025年11月に初めての内陸部、長野県松本市で開催された「第36回北前船フォーラム in 信州まつもと」および「第7回地域連携研究所大会」の成果を踏まえ、次回開催地・新潟へとつながる節目の交流の場として位置づけられた。

会場の様子

広がる縁を力に、地域連携の次章へ

合同新年会の冒頭であいさつに立った北前船交流拡大機構の岩村敬会長は、まず新年のあいさつを述べたうえで、北前船交流拡大機構および地域連携研究所の両団体主催による新年会に、多くの関係者が集ったことへの感謝を示した。岩村会長は、北前船フォーラムの開始から長い年月が経過したことに触れ、「立ち上げ当初から参加している方もいれば、途中から加わった方もいるが、こうして一堂に会することができるのは大変喜ばしいこと」と述べ、積み重ねられてきた交流の歴史と人的ネットワークの広がりを振り返った。そのうえで、「限られた時間ではあるが、観覧や歓談を通じて、この場を楽しんでいただければ」と語り、参加者同士の交流がさらに深まることへの期待を示して、あいさつを締めくくった。

北前船交流拡大機構の岩村敬会長

主催者を代表してあいさつした北前船交流拡大機構の森健明理事長代行は、新年会が年々賑わいを増していることに触れ、「同じ会場でも手狭に感じるほど、皆さまとのご縁が広がっている」と述べ、参加者への感謝を示した。また、昨年11月に長野県松本市で開催された北前船フォーラムおよび地域連携研究所大会について、北前船寄港地以外の内陸で初めての開催であった点を振り返り、開催地や実行委員会、全国からの参加者への謝意を表明した。その成果として、長野県観光をテーマにした海外での取り組みが動き始めていることを紹介し、フォーラムを一過性に終わらせず、そこから生まれる価値や提案を形にしていく考えを示した。さらに、今年開催される新潟フォーラムに向け、「このつながりをさらに深めていきたい」と述べ、交流の深化に期待を寄せた。

北前船交流拡大機構の森健明理事長代行

地域連携研究所の企業会員代表としてあいさつした清水新一郎氏は、回を重ねるごとに仲間が増え、つながりが深まっている実感を述べ、参加者への感謝を示した。北前船交流拡大機構と地域連携研究所の関係性に触れつつ、昨年、北前船の寄港地ではない内陸・松本でフォーラムが開催されたことを「仲間が広がっていく象徴」と位置づけた。そのうえで、人口減少など一地域では解決できない課題が増える中、広域連携や遠隔地同士のつながりの重要性が高まっていると指摘し、国内にとどまらず海外とも結びつく点をこの会の強みとして挙げた。さらに、自治体首長や国の関係者が集う意義に触れ、「北前船と地域連携研究所の二つを両輪として、日本のすべての街をつなげていきたい」と述べ、新潟で開催される次回フォーラムに向け、準備と交流の深化を呼びかけた。

地域連携研究所 企業会員代表の清水新一郎氏

文化と政策が照らす、北前船のレガシー

新年のあいさつに立った衆議院議員の遠藤利明氏は、出身地である山形県の文化と言葉の違いを切り口に、北前船がもたらした文化交流の影響に言及した。山形県内でも地域ごとに言葉や文化圏が異なることを紹介し、酒田・鶴岡を中心とする庄内地方の言葉が京都に近い点について、「やはり北前船が運んだ文化の影響だと改めて感じる」と述べた。また、山形の名物である芋煮会が京都の芋棒に由来するとされる点にも触れ、食文化を含めた交流の積み重ねこそが北前船の大きな功績だと強調した。さらに、北前船関係者がフランスで日本の食文化を発信した際の経験を振り返り、こうした取り組みに共感を寄せながら、「それぞれの地域が元気になる活動を、これからも一緒に応援していきたい」と語り、今後の発展と地域の活性化に期待を寄せた。

衆議院議員の遠藤利明氏

続いて国土交通省事務次官の水嶋智氏は、北前船寄港地フォーラムの第1回が2007年に開催されたことに触れ、観光立国の取り組みや観光庁設立以前から、交流人口の拡大を見据えた実践が行われてきた点を評価した。その後、開催地が寄港地にとどまらず内陸や海外へと広がり、日本遺産の取り組みや震災復興支援など、活動の幅が地理的にも内容的にも拡大してきた結果が、今日の賑わいにつながっていると述べた。さらに、パリ市の紋章に描かれた小舟のエピソードを引き合いに出し、「耐え忍ぶも沈まぬ」という言葉を紹介しながら、分断や対立が指摘される時代にあっても、北前船を通じた寄港地同士のつながりはさまざまな波を乗り越え、今年もより豊かなネットワークへと発展していくことに期待を寄せた。

国土交通省事務次官の水嶋智氏

国内外の来賓が語る、交流と連携の広がり

来賓からは7人がしてあいさつ。法務副大臣で衆議院議員の三谷英弘氏は、国会情勢が大きく動く中でもこの場に足を運んだ理由として、北前船交流拡大機構および地域連携研究所の関係者への感謝を直接伝えたい思いがあったと述べた。法務行政は地域との関わりが見えにくい分野と思われがちだとしつつ、外国人観光客や短期滞在者の増加により、各地の自治体が現場対応を迫られている現状に言及。地域の声を丁寧に受け止め、制度や行政運営に反映させていくことの重要性を強調した。そのうえで、「北前船に関わる皆さんの声をしっかりと行政につなげていきたい」と述べ、地域と国政を結ぶ立場としての役割に意欲を示した。

法務副大臣で衆議院議員の三谷英弘氏

元衆議院議員の富田茂之氏は、北前船フォーラムが2007年に始まって以来の歩みを振り返り、関係者の尽力によって交流の輪が着実に広がってきたことに言及した。とりわけ、立ち上げ期から関わってきた人々の存在が、現在の発展につながっていると述べ、自身が久しぶりにこの場に足を運んだ理由にも触れた。現在は地元に戻り弁護士として活動している立場から、国や自治体、関係機関をつなぐ人材の重要性を指摘し、「人と人とのつながりが、地域の発展を支えてきた」と語った。北前船を軸とした交流が今後も継続し、次の世代へと受け継がれていくことに期待を寄せた。

元衆議院議員の富田茂之氏

観光庁長官の村田茂樹氏は、昨年7月から長官を務めていることに触れたうえで、部長や次長時代に酒田や小樽、鹿児島などで開催された北前船フォーラムに参加してきた経緯を振り返り、交流の輪がここまで広がっていることに「本当にうれしく思っている」と述べた。北前船交流拡大機構が進めてきた地方と地方の交流は、観光にとっても重要な考え方だとし、オーバーツーリズムが課題となる中、「地方にはまだまだ大きなポテンシャルがある」と指摘。地方誘客を重視する観光行政の方針を示すとともに、観光財源の重要性にも触れながら、今後も地方の発展に向けて取り組んでいく姿勢を示し、北前船交流拡大機構と地域連携研究所への継続的な協力を呼びかけた。

観光庁長官の村田茂樹氏

文化庁次長の伊藤学司氏は、昨年松本市で開催された北前船フォーラムに初めて参加したことをきっかけに、北前船の取り組みに強い印象を受けたと述べた。北前船は単に物を運ぶ存在ではなく、人の移動とともに文化を運び、新たな文化を生み出してきた点に触れ、その奥深さを改めて実感したと振り返った。観光庁関係者が多く出席していることにも言及しつつ、文化庁としても観光行政と連携しながら、地域の魅力向上や文化振興、インバウンドを含めた観光の発展に取り組んでいく考えを示した。そのうえで、「北前船が培ってきた文化の力を、これからの地域づくりに生かしていきたい」と述べ、今後の連携に期待を寄せた。

文化庁次長の伊藤学司氏

ブルガリア共和国特命全権大使のアラバジエヴァ・マリエタ氏は、新年の祝意とともに、北前船交流拡大機構との連携や支援に対する感謝を述べた。昨年、ブルガリアと日本が戦略的パートナーシップを結んだことや、今年1月からブルガリアがユーロ圏に加盟したことに触れ、両国間、とりわけ経済分野での可能性がさらに広がっているとの認識を示した。また、ブルガリアでは日本文化への関心が高く、若い世代を中心に日本語や茶道、華道などを学ぶ動きが地方にも広がっていると紹介。日本を訪れるブルガリア人の多くが大都市だけでなく地方にも足を運んでいる点に言及し、「経済だけでなく、文化や教育、観光の分野でも新しい可能性を見つけてほしい」と語った。今年一年が実り多い年になることを願い、今後のさらなる交流に期待を寄せた。

ブルガリア共和国特命全権大使のアラバジエヴァ・マリエタ氏

ハンガリー大使館次席のコバーチ・エメシェ氏は、新年の祝意を述べたうえで、北前船交流拡大機構と地域連携研究所の合同新年会に招かれたことへの謝意を示した。2007年に始まった北前船を軸とする地域交流活動が現在も継続し、日本の地方文化の活性化に大きく貢献している点を高く評価。さらに、近年はパリやミラノへと活動の場が広がっていることに触れ、「日本と多くの共通点を持つ親日国であるハンガリーでも、皆さんをお待ちしている」と述べ、今後のさらなる発展と国際的な交流の広がりに期待を寄せた。

ハンガリー大使館次席のコバーチ・エメシェ氏

LINEヤフー会長の川邊健太郎氏は、今回が初参加であることに触れ、アップフロントグループの山崎会長の紹介をきっかけに来場した経緯を語った。ヤフーの検索広告やLINEの公式アカウント、PayPayによる決済などを通じ、全国の中小商店から地場企業まで幅広く関わっている現状に言及し、地域との接点は多いと説明。「今日のご縁をきっかけに、何かお役に立てることがあるのではと予感している」と語り、交流を通じた今後の可能性に前向きな姿勢を示した。

LINEヤフー会長の川邊健太郎氏

つながりを祝し、新年の杯

続いて、北前船交流拡大機構専務理事の浅見茂氏が、会場に集まった約150人を紹介。過去の参加者から「自分の名前が呼ばれたことがうれしかった」と声を掛けられたエピソードにも触れた。

北前船交流拡大機構専務理事の浅見茂氏

乾杯の発声は、山陽新聞社相談役の越宗孝昌氏が務めた。北前船フォーラムを通じて各地との縁を重ねてきたことに触れ、交流から生まれるネットワークが地域の力になっていると述べ、「このつながりが、それぞれの地域を元気にしてきた」と語った。そのうえで、北前船交流拡大機構と地域連携研究所のさらなる発展、そして参会者の健勝を祈念し、杯を上げた。

山陽新聞社相談役の越宗孝昌氏

続いて乾杯に加わったJR北海道社長の綿貫泰之氏は、松前や江差をはじめ、各地で開催されてきた北前船フォーラムへの参加経験に触れた。激動の時代とされる中でも、変化の中には新たな機会が生まれると述べ、「皆さんと一緒に、そのチャンスを生かしていきたい」と語り、会場に集った参加者とともに新年の門出を祝した。

JR北海道社長の綿貫泰之氏

また、会場には衆議院議員の逢沢一郎氏、同じく衆議院議員の浮島智子氏から祝電が寄せられ読み上げられた。

鏡開きの様子

新年のごあいさつに込められた地域連携への期待

新年のあいさつに立った長野県松本市長の臥雲義尚氏は、昨年11月に内陸で初めて開催された北前船フォーラムについて、「本当に大勢の皆さんに松本に足を運んでいただいた」と振り返り、多くの関係者の支えによって松本にとって記念となるフォーラムが実現したことへの感謝を述べた。今後については、文化と観光をまちづくりの礎として、より一層力を入れていく考えを示し、東京を介さずに人や物、文化がつながる地域間交流の重要性に言及。「LOCAL TO LOCAL、LOCAL TO WORLD」という言葉を掲げ、日本全体の地方が豊かになる未来を北前船フォーラムから共につくっていきたいと語った。次回開催地の新潟に向けては、自身が記者としてのスタートを切った地であることにも触れ、しっかりとバトンを渡していきたいと述べ、あいさつを締めくくった。

長野県松本市長の臥雲義尚氏

観光庁元長官の田端浩氏は、前回松本市を訪れた際の北前船フォーラムを振り返り、スズキ・メソッドの子どもたちによる演奏に触れ、「本当に感動したフォーラムだった」と述べた。松本での開催が印象深いものだったとしたうえで、今年は新潟での開催となることに言及し、後輩でもある新潟県の花角知事のもとでの取り組みに対して、引き続き支援していきたいとの考えを示した。また、新年にあたり、地域間の連携を深めながら、今年も活発な活動を進めていくことへの期待を語った。

観光庁元長官の田端浩氏

秋田県男鹿市長の菅原広二氏は、「なまはげの里」を掲げる男鹿市の近況を紹介し、全国でも珍しく市の所在地にホテルがない状況が続いていた中で、3月5日に新たなホテルが開業することを報告した。木下グループによるホテル整備について触れ、「こんなにいいところにホテルがないのはおかしい、世界から人を集めたいと言ってもらえた」と経緯を説明。宿泊観光にとどまらず、地域の土産や特産品など周辺産業にも波及効果が広がることへの期待を示し、関係者への感謝を述べた。

秋田県男鹿市長の菅原広二氏

観光庁地域振興部長の長﨑敏志氏は、新年のあいさつに続き、北前船の場で関係者から親しまれていることに触れ、そのつながりへの感謝を示した。そのうえで、多くの関係者が集うこの場を大切にしながら、今後も「皆と連携を深め、地域と向き合った観光振興に取り組んでいきたい」と考えを述べた。

観光庁地域振興部長の長﨑敏志氏

奥井海生堂社長の奥井隆氏は、北前船による交易の歴史が現在の商いにもつながっていることに触れ、自社が155年にわたり昆布を扱ってきた背景には北前船の存在があると語った。司馬遼太郎の著作を引き合いに、北前船の代表的な積荷として昆布とニシンを挙げ、ニシンを原料とした肥料が木綿栽培を支え、日本人が防寒具を得る契機になったという文化史的な広がりを紹介。昆布が北海道から福井を経て京都へと運ばれ、今も商いとして受け継がれていることに触れながら、「北前船のおかげで今も商売をさせていただいている」と感謝の意を示した。

奥井海生堂社長の奥井隆氏

秋田県副知事の谷剛史氏は、ナマハゲに代表される伝統文化や、大館曲げわっぱに象徴される伝統工芸など、秋田が有する多様な文化資源に言及した。今年も、こうした秋田の魅力を国内外に発信していきたいと述べ、「世界の方々に秋田の素晴らしい文化を知っていただきたい」と語り、理解と連携を呼びかけた。

秋田県副知事の谷剛史氏

ANAあきんど社長の原雄三氏は、北前船フォーラムが内陸にも広がりを見せていることに触れ、「もうどこにでも行ける取り組みになってきた」と述べた。航空業界でも機材を「シップ」と呼ぶなど、船に由来する言葉や考え方が受け継がれている点を紹介し、北前船の精神が現代の交通や物流にも通じていると指摘した。自社では航空営業に加え、地域創生やふるさと納税にも取り組んでいるとしたうえで、インバウンドの増加により国内線の利用も広がっている現状に言及。「人を運び、地域を元気にしていきたい」と語り、地域との連携に意欲を示した。

ANAあきんど社長の原雄三氏

観光庁観光資源課長の矢吹周平氏は、新年のあいさつに続き、今回の場に招かれたことへの謝意を述べた。今年50歳を迎える節目の年であることに触れ、「天命を知る年齢として、良い天命が得られるよう仕事に励みたい」と語った。あわせて、次回の新潟での取り組みにも力を尽くしていく考えを示し、関係者の指導と連携のもとで観光振興に取り組んでいきたいとの姿勢を示した。

観光庁観光資源課長の矢吹周平氏

内閣府地域活性化伝道師・跡見学園女子大学准教授の篠原靖氏は、今年が午年であることに触れ、集まった多くの関係者の英知を結集し、「馬のように力強く跳ね、流鏑馬の矢を皆さんの力で射抜いていく一年にしたい」と語った。また、観光庁と連携した世界展開や、伝統工芸品の海外発信を支援する取り組みに言及し、こうした機会を生かしてほしいと呼びかけた。そのうえで、今後も地域の挑戦を後押ししていく考えを示し、関係者への継続的な協力を求めた。

内閣府地域活性化伝道師・跡見学園女子大学准教授の篠原靖氏

観光庁元長官の高橋一郎氏は、退官から約1年半が経った現在も、地方にこそ日本の本物の歴史や文化、そして人々の生き様があるという思いは変わらないと述べた。在任中、各地の関係者に支えられながら仕事に取り組んできた経験を振り返り、「日本の底力は地方にある」と強調。今後も北前船の関係者が国内交流の中心となり、その発展を支えていくことに期待を寄せるとともに、自身も引き続き応援していく姿勢を示した。

観光庁元長官の高橋一郎氏

岡山県備前市の前市長である𠮷村武司氏は、北前船の歴史に触れながら、近年では実際に北前船が造られてこなかったことを指摘した。そのうえで、今年、備前市が新たに北前船を建造し、造船会社から引き渡しを受けたことを紹介し、「180年ぶりに北前船を造った町は備前市だけ」と語った。今後は、各地で実際の北前船を造り、交流を広げていくことが重要だと呼びかけ、北前船を核とした新たな地域間交流への期待を示した。

岡山県備前市前市長の吉村武司氏

山形県酒田市長の矢口明子氏は、日頃から北前船の関係者に支えられていることへの感謝を述べたうえで、酒田市にとっての明るい話題を紹介した。銀座・松屋百貨店の創業100周年に合わせた正月装飾に、酒田の伝統文化である「傘福(つるし飾り)」が採用されたことに触れ、「多くの方に見ていただけたらうれしい出来事だった」と語った。また、山形県が米国の旅行雑誌『ナショナル ジオグラフィック』で注目すべき旅行先として紹介されたことにも言及し、関係自治体と連携しながら、山形の魅力発信に取り組んでいく考えを示した。

山形県酒田市長の矢口明子氏

山形県鶴岡市長の佐藤聡氏は、今回が合同新年会への初参加であることに触れ、招待への謝意を述べた。北前船の港町である酒田市の隣に位置する鶴岡市について、同じ庄内藩に属し、城下町として歴史を歩んできたことを紹介し、現在も酒田市と良好な関係を築いていると説明した。庄内藩主・酒井家の当主が今も鶴岡に暮らしていることにも触れ、地域に息づく歴史の厚みを語った。さらに、米国の旅行情報誌で鶴岡市が訪れるべき目的地として選ばれたことを紹介し、「今年はインバウンドにも力を入れていきたい」と述べ、地域の魅力発信への意欲を示した。

山形県鶴岡市長の佐藤聡氏

秋田県由利本荘市長の湊貴信氏は、新年のあいさつに続き、秋田県内で相次いだクマの出没について触れ、由利本荘市でも昨年は対応に追われた状況を紹介した。今冬は大雪の影響で出没が落ち着いているかと思われたものの、当日も市街地でクマが確認されたことに言及し、地域の現状を率直に語った。一方で、地域の食文化にも触れながら、「由利本荘にはおいしいクマ肉もある」と述べ、観光を通じて同市を訪れてほしいと呼びかけた。

秋田県由利本荘市長の湊貴信氏

秋田県大仙市長の老松博行氏は、「大曲の花火」で知られる大仙市の取り組みを紹介し、花火を文化・芸術として世界に発信していく考えを示した。今年は米国建国250周年の記念行事で、大曲の花火玉が約8,000発打ち上げられる予定であることに触れ、海外での評価の高まりを強調した。さらに、来年にはモントリオール国際花火競技大会への再挑戦を予定していることや、2年後に控える第100回記念大会に向けて海外展開を進めていると説明し、「日本の花火、大曲の花火の認知度をさらに高めていきたい」と語り、インバウンド拡大への期待を語った。

秋田県大仙市長の老松博行氏

石川県加賀市長の山田利明氏は、自身が高校生だった頃に、北前船研究で知られる牧野龍信氏から「北前線ではなく北前船だ」と教えられた経験を振り返り、北前船という名称が全国に広まっていった背景に研究の積み重ねがあったことに言及した。そうした原体験から、北前船に関わる人々と今こうして交流していることに「強いご縁のようなものを感じている」と語った。また、松本でのフォーラムで紹介された伝統工芸品ネットワークに触れ、加賀市の山中漆器や九谷焼をはじめとする北前文化を世界に発信していきたいとの考えを示し、北前船を通じたつながりを大切にしていく姿勢を述べた。

石川県加賀市長の山田敏明氏

岡山県矢掛町長の山岡敦氏は、矢掛町が海に面していない内陸の町でありながら、高瀬船を通じて北前船と深い関わりを持ってきた歴史に触れ、これまでの交流への感謝を述べた。北前船によって瀬戸内と日本海が結ばれてきたことを振り返り、「内陸の町である矢掛も、その恩恵を大きく受けてきた」と語った。現在は、イタリア野菜の生産など新たな取り組みにも力を入れていることを紹介し、北前船を介したつながりを今後も大切にしながら、地域の魅力発信に取り組んでいく考えを示した。

岡山県矢掛町長の山岡敦氏

ANA総合研究所社長の矢澤潤子氏は、自身が長野県出身であることに触れ、昨年11月に開催された松本フォーラムを振り返った。令和版「塩の道」として、海から陸へとつながる無形の価値を約400人の参加者とともに見つめ直す機会となった点を「非常に画期的な成果だった」と述べ、関係者への感謝を示した。今後については、陸・海・空の連携をさらに深め、地域の宝を世界に発信する役割を担っていきたいとし、「現代の北前船として新たな潮流をつくっていきたい」と語り、地域連携への意欲を示した。

ANA総合研究所社長の矢澤潤子氏

日本航空取締役専務執行役員の柏頼之氏は、年明けの国内外の情勢に触れ、不透明さが増す中でも北前船の取り組みは進むべき針路が明確であると述べた。「世界も日本も先行きが見えにくい年明けだが、北前船の方向ははっきりしている」と語り、その活動への共感を示した。微力ながらも引き続き支えていきたいと述べ、今年も関係者と歩みをともにしていく考えを語った。

日本航空取締役専務執行役員の柏頼之氏

ANA総合研究所取締役会長であり、日本古墳連盟にも関わる功刀秀記氏は、古代史を軸にした地域連携の取り組みについて紹介した。松本でのフォーラムで約束した、古代史によって日本各地をつなぐ構想について、現在レポートとして取りまとめを進めていることを説明。「古代史でもって日本をつなげていきたい」と語り、正月には古墳の上で火縄を用いた情景を目にしたという印象深い体験にも触れた。北前船の交流と同様に、歴史を起点とした新たなネットワークづくりへの可能性を示した。

ANA総合研究所取締役会長の功刀秀記氏

秋田県秋田市副市長の猿田和三氏は、県庁時代から北前船関係者に助言を受けてきたことへの感謝を述べたうえで、退職後に秋田市へ転じた経緯に触れた。秋田市は秋田空港や秋田港を有し、竿燈まつりをはじめとする観光資源にも恵まれていると紹介し、「ぜひ秋田に足を運んでほしい」と語った。また、副市長として秋田公立美術大学の運営支援にも携わっていることを説明し、同大学の前身校に関わった石川義治氏の理念に言及。自治体が連携し、観光や交流人口の拡大を図る重要性を強調しながら、その考えを基盤に秋田市の観光振興に全力で取り組んでいく決意を述べた。

秋田県秋田市副市長の猿田和三氏

北前船交流拡大機構参与の加藤祐嗣氏は、趣を変えて、昨年開催された大阪・関西万博での取り組みを報告した。北前船のネットワークを生かし、岡山県内4市が大阪外食産業協会の民間パビリオン「ORA館」に出展したことを紹介。岡山市の桃、倉敷市のシャインマスカット、瀬戸内市や備前市による食や工芸を通じた発信が来場者の関心を集め、「食のパビリオンとして成功裏に終えることができた」と振り返った。万博終了後には、宝船をモチーフにした大型レリーフが備前市に引き取られ、市内漁港施設に展示される予定であることにも触れ、万博の成果が地域に受け継がれていく意義を強調した。

北前船交流拡大機構参与の加藤祐嗣氏

日本旅行社長の吉田圭吾氏は、昨年度末に観光交流の契約締結のためドミニカ共和国を訪問した経験を紹介し、国際情勢の不確実性を実感した出来事として、帰国直後に周辺地域で軍事的緊張が高まったことに触れた。一方で、同社としては引き続き海外との観光交流に力を入れているとし、現在はサウジアラビアでも交流に向けた取り組みが進んでいることを説明。「観光を通じた国際的なつながりを広げていきたい」と述べ、今後はブルガリアやハンガリーとの交流にも期待を寄せた。

日本旅行社長の吉田圭吾氏

日本観光振興協会理事長の最明仁氏は、北前船フォーラム第1回の開催時にJR東日本の担当を務めていた経験を振り返り、当時からは想像できないほど多くの参加者が集う規模に成長したことに「本当に感無量だ」と語った。現在も庄内地域をはじめ、天候対応などを通じて関係者と密接に関わっていることに触れ、「今年も何度も庄内に足を運んでいる」と述べながら、引き続き地域とともに取り組んでいく考えを示した。

日本観光振興協会理事長の最明仁氏

BRIDGE MULTILINGUAL SOLUTIONS社長の吉川健一氏は、新年のあいさつに続き、通訳・翻訳事業を通じて地域や企業の活動を支えてきたことへの感謝を述べた。昨年は、ミラノやロンドンで開催されたアートフェアなどの国際イベントに関わり、地域の名産品や文化を海外に発信する機会を重ねてきたと振り返り、「海外でも高い評価をいただいた」と語った。今後は通訳の領域にとどまらず、チャネルプロモーションにも取り組み、地域の魅力をより広く届けていきたいとし、引き続き連携への協力を呼びかけた。

BRIDGE MULTILINGUAL SOLUTIONS社長の吉川健一氏

JR東日本マーケティング本部観光戦略室長の六田崇氏は、年明け早々のタイミングで前任者から職務を引き継ぎ、今回が初参加であることに触れた。会場の熱気に圧倒されつつ、「こうした場から新たな交流が生まれていくのだと実感している」と語った。一方で、当日に発生した首都圏での輸送障害について謝意を示し、安心・安定輸送こそが交流を支える基盤であると改めて認識したと述べた。鉄道会社として、今後も交流を下支えする役割を果たしていきたいとの考えを示した。

JR東日本マーケティング本部観光戦略室長の六田崇氏

宗家源吉兆庵 上席執行役員の岡田佳子氏は、同社が菓子の製造・販売を手がける企業であることに触れ、新たな取り組みとしてカジュアルスイーツの新ブランド「J.sweets Harmony(ジェイ・スイーツハーモニー)」を紹介した。岡山に2店舗を開設したのに続き、今後は2月に東京、3月に千葉での出店を予定していると説明し、「より多くの方に親しんでもらえるブランドに育てていきたい」と語った。また、今年で創業80周年を迎える節目の年となることにも触れ、これまで支えてきた人々への感謝とともに、今後も地域や社会に貢献していく姿勢を示した。

宗家源吉兆庵 上席執行役員の岡田佳子氏

音楽などエンターテインメントでつなぐ北前船の記憶

会場では新年エンターテイメントが行われ、まず歌手の松原健之氏が登場。作家・五木寛之氏のプロデュースでデビューし、北前船の寄港地・金沢を舞台にしたデビュー曲「金沢望郷歌」を披露した。松原氏は「物語を楽しみながら、明治時代の情景に思いを重ねてほしい」と語り、来場者は北前船が運んだ時代の記憶に耳を傾けた。

歌手の松原健之氏

続いて、心に響くピアノ演奏が披露。演奏を務めたのは、航空総合研究所理事長・会長の池田敏博氏。静かな雰囲気の中、池田氏は自ら曲目を紹介し、「乙女の祈り」を演奏した。「今日は女性部の皆さんのために」と語り、和やかな笑いを誘いながらも、会場はやがて音色に包まれ、参加者はしばし日常を離れた穏やかな時間を共有した。

航空総合研究所理事長・会長の池田敏博氏

東映からは、映画制作および東映太秦映画村の取り組みについて紹介があった。北前船交流拡大機構との長年の縁に触れつつ、映画制作と地域連携が継続してきた経緯を振り返り、今年は映画と映画村の双方で発信を強めていく考えが示された。太秦映画村については、数年をかけた再開発を進めており、今後は段階的なリニューアルや夜間営業の開始などを通じて、新たな来場者層にも訴求していく方針を紹介。また、新作映画の公開予定にも触れ、会場では映像が上映されるなど、映画を通じた今後の展開への期待が語られた。

東映からは、映画制作および東映太秦映画村の取り組みについて紹介された

エンターテインメントの最後に登場したのは歌手の柳澤純子氏。北前船関係者との縁に感謝を述べたうえで、デビュー曲「あなたに片想い」を歌唱した。同曲について柳沢氏は、明るく可愛らしい楽曲であることに触れ、「今日はこの場にふさわしい一曲として選んだ」と紹介。会場はやさしい歌声に包まれ、和やかな雰囲気の中で新年のひとときを楽しんだ。

歌手の柳澤純子氏

花束がつなぐ感謝と交流のひととき

会場ではその後、歓談と交流の時間に移り、花束贈呈が行われた。最初に、名前を呼ばず、会場に集まった女性参加者全員に花束を贈るサプライズ企画が実施され、北前船交流拡大機構および地域連携研究所の男性スタッフがプレゼンターを務めた。ステージ上では一人ひとりに花束が手渡され、記念撮影の時間も設けられるなど、会場は和やかな雰囲気に包まれた。

続いて、歌や演奏で会を彩った出演者らへの花束贈呈が行われ、松原健之氏、柳澤純子氏、池田敏博氏、観光庁元長官の久保茂人氏が登壇。プレゼンターから花束が手渡され、会場からは温かな拍手が送られた。久保氏の誕生日が紹介される場面もあり、祝福ムードの中で交流はさらに深まり、新年会は終始和やかな空気のまま進行した。

新潟大会へ向けたバトン

北前船交流拡大機構参与の金子重郎氏から、北前船寄港地フォーラム新潟大会についての案内が行われた。これまで北海道から東北、北陸、山陰、九州、沖縄まで各地のフォーラムに関わってきた歩みを振り返り、開催地の関係者への感謝を述べたうえで、本年10月29日から31日にかけて新潟県内でフォーラムを開催する予定であることを紹介。「魅力あふれるフォーラムにしたい」と語り、参加者や関係者に支援を呼びかけた。あわせて、観光庁とも連携しながら準備を進めていることに触れ、新潟大会への期待を示した。

北前船交流拡大機構参与の金子重郎氏(中央)と新潟県関係者

また、新潟県から参加した関係者が登壇し、北前船寄港地フォーラム新潟大会に向けて県内各地の魅力を紹介した。海の幸、山の幸をはじめ、米や酒、果物など豊かな食文化に加え、佐渡の無名異焼に代表される伝統工芸や、佐渡金山の歴史的価値にも言及。さらに、雪国ならではの自然環境が清らかな水を生み、米や酒づくりを支えてきたこと、戦国武将ゆかりの地や近代史の舞台、花火文化など、多様な地域資源があることが語られた。エクスカーションの実施予定にも触れながら、10月開催の新潟大会では県内一丸となって来訪者を迎えるとし、多くの参加を呼びかけた。

活気あふれる会場

交流の力を一つに、新潟へ向けて

日本航空執行役員で北前船交流拡大機構副会長を務める西原口香織氏が閉会のあいさつに立ち、来場者への謝意を述べた。昨年の北前船フォーラムが信州・松本で開催されたことを振り返り、自治体や地域の人々に温かく迎えられ、歴史や文化、食の魅力を現地で体感した経験から、「やはり行ってみないと分からない旅の価値がある」と語った。今年は新潟での開催を迎えるにあたり、多くの参加を呼びかけるとともに、北前船交流拡大機構が約20年にわたり、多くの関係者の尽力と熱意によって歩みを重ねてきたことに言及。今日の交流を通じて、その思いを受け継ぎ、地域活性化と日本文化の魅力を国内外へ広げていく重要性を改めて感じたと述べ、今後の取り組みへの期待を示した。

日本航空執行役員の西原口香織氏

最後に登壇したのは、東武タワースカイツリー会長の久保茂人氏。この日の進行を振り返り、「誰も数えていないでしょうけれど、今日は43人もの方々のごあいさつを、皆でしっかりと聞いた」と語り、会場の笑いを誘った。そのうえで、一人ひとりの発言が示した思いや視点の積み重ねこそが、この会の価値であるとし、「今日の43人の言葉を糧に、10月の新潟大会を必ず成功させたい」と力を込めた。続いて、参加者に呼びかけ、新潟大会の成功を祈念して一本締めを実施。会場が一体となって手を打ち鳴らす中、長時間にわたる新年会は大きな節目を迎えた。最後に、関係者への感謝とともに、次なる舞台である新潟での再会を期し、北前船交流拡大機構・地域連携研究所合同新年会は和やかな雰囲気のまま閉じられた。

東武タワースカイツリー会長の久保茂人氏

取材 ツーリズムメディアサービス代表 長木利通

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