東京科学大学は、東京都が進める「先端技術を活用したバリアフリー観光推進事業」で「ロボット×街歩きによるバリアフリー観光」プロジェクトを始動した。スカイツアーズ、ANA総合研究所、新宿観光振興協会、八王子観光コンベンション協会と連携し、観光と最先端ロボット技術を融合させた新たな体験価値の創出を目指す。
病院向け技術を観光へ応用し、健康寿命延伸と地域価値向上を両立
同大学(旧東京工業大学)はこれまで、病院やリハビリ施設向けに歩行アシストロボットの開発を進めてきた。今回のプロジェクトでは、その技術を観光や街歩きに応用。アクティブシニアから歩行に不安を抱える高齢者まで、無理なく観光を楽しめる環境づくりを目指す。
歩行アシストロボットを装着することで身体への負担を軽減し、積極的な外出や観光参加を後押し。高齢化社会における健康寿命の延伸に寄与するとともに、地域社会への社会的・経済的価値の増加を図る取り組みでもある。
“無理なく歩ける”新しい体験型観光
具体的な施策として、シニア層が歩行支援ロボットを装着して参加するバリアフリーツアーを実施する。第一弾として、東京都内の「神楽坂ツアー」と「高尾山ツアー」を展開予定だ。街中の石畳や坂道、自然環境の中でも、ガイドとともに安心して歩行できる設計とし、「観光は体力的に難しい」というイメージの払拭を図る。従来の受動的な観光ではなく、主体的に街を楽しむ“参加型観光”の実現を目指す。
シンポジウムで実機デモも
1月26日には、東京都主催の「アクセシブルツーリズム推進シンポジウム」に出展。展示ブースではポスター説明に加え、実機デモンストレーションも実施し、事業関係者やメディア、一般市民へ広く紹介された。ロボット技術の社会実装事例として注目を集め、観光分野におけるアクセシビリティ向上の新モデルとして期待が寄せられている。
観光産業への波及効果にも期待
同プロジェクトは、高齢者の外出機会拡大を通じて旅行業界におけるツアー参加者増加や、航空利用者の拡大といった波及効果も視野に入れる。単なる福祉施策にとどまらず、新たな観光サービス創出という産業的意義も持つ点が特徴だ。
東京科学大学では、特設サイトを通じて情報発信を行いながら、今後も連携先を広げ、ロボットを活用したバリアフリー観光の実装を本格化させる方針としている。