早春の底冷えが残る二月。今回の一句は、岐阜羽島駅の近くで出会った「円空仏」を詠んだものです。江戸時代の僧・円空は生涯で十二万体もの仏を彫ったと伝えられています。愛知県や岐阜県に多く、生誕の地・羽島市の資料館を訪ねたこともありますが、円空仏の多くはこの写真のように野に置かれています。「庶民の暮らしに寄り添いたい」という円空自身の願いだったといいます。ゴツゴツとした荒削りの野生味の中に、どこか慈愛に満ちた不思議な微笑みをたたえている。そんな姿に私は惹かれます。花冷えの空気の中で静かに佇む仏の姿は、凍える指先に春の柔らかな日差しを運んでくれるようでした。