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澤井織物と東京山側DMCが伊勢丹立川店でトーク&機織り体験を開催

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東京山側DMCは3月14日、伊勢丹立川店2階エントランスホールにて日本の伝統工芸と次世代教育をテーマにしたトーク&機織り体験イベントを開催した。八王子で約120年の歴史を持つ澤井織物の伝統工芸士・澤井伸氏と後継者の澤井紘美氏、そして東京山側DMCの宮入正陽氏が登壇し、グローバル化が進む時代に日本文化を語れる人材を育てることの重要性を発信した。会場には親子連れが多数集まり、トークと体験が交差する熱気に包まれた。

AI時代に求められる日本のアイデンティティ

宮入氏はAIの進化が加速する現代において、子どもたちが生き抜く力を育てるには自然環境や伝統工芸に触れる体験学習が重要だと訴えた。世界が小さくなり海外への往来が容易になった一方で、日本への世界の関心も高まり続けていると指摘する。海外へ出るだけでなく、グローバルから日本へ向いている関心をしっかり受け止め、日本のアイデンティティを語れる人材を育てることが不可欠だという考えを示した。

世界的テクノロジー企業も驚く多摩の伝統技術

澤井伸氏のもとには、世界的なテクノロジー企業から開発依頼が舞い込んだ経験がある。組紐製造の機械を活用し、極細の銅線を丸紐の中に入れることでタッチパネルとして機能する衣服の袖を制作したという。1000年以上受け継がれてきた伝統技術と世界最先端の需要が交差したことに、会場からは驚きの声が上がった。「来た仕事は断らない。失敗してもまずやってみることが大事」と語る澤井伸氏の姿勢が印象的だった。

後継者の澤井紘美氏は、当初デザインが得意ではなくこの仕事に就くとは思っていなかったと率直に明かした。しかし実際にモノづくりの現場で知識と感覚が結びついていくうちにその面白さに気づき、今では地域のつながりや伝統の根幹を大切にしながら日々織物と向き合っているという。

子どもたちが夢中になった機織り体験とこれからの可能性

トークの合間には、会場に持ち込まれた機織り機を使った実演と体験が行われた。ペダルを踏み、杼(シャトル)を左右に通し、糸を打ち込む1000年前から変わらない作業に、子どもたちは夢中になって挑戦した。習得の早さに澤井伸氏も感心するほどで、手を動かし続ける無心の時間はマインドフルネスやリトリート体験としての可能性も話題に上った。

澤井伸氏はスマートフォン画面上の達成感だけでなく、リアルなモノづくりを通じた達成感の重要性を強調した。良いものを丁寧に長く使う日本古来のサステナブルな精神を、伝統工芸を通じて次世代に伝えたいという思いも語られた。澤井紘美氏は「ローカルな地域のことを知っているからこそ、グローバルにつながる」と締めくくり、地域文化への深い理解が世界へ羽ばたく自信の源になると訴えた。

澤井織物では月に2回ほどの体験教室や学校への出前授業も行っており、インバウンド観光が活発化する今、親子で地域の伝統に触れる体験型ツーリズムは子どもたちの未来を切り拓く機会となりそうだ。

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