滋賀県は4月、棚田ボランティアとの協働で生産した環境こだわり栽培米を「しが棚田米」として認証する制度の運用を開始する。認証ロゴマークと統一パッケージも整備し、9月からの販売を予定している。食味ランキングで最高ランク「特A」を獲得した近江米の品質と、その背景にある棚田の風景・人の営みをあわせて伝えることで、琵琶湖を支える棚田の保全と活性化につなげる狙いだ。
「特A」評価の近江米を育む棚田の価値
滋賀県産の「きらみずき」と「みずかがみ」は、2025年産米の食味ランキングでともに最高ランク「特A」を獲得するなど、近江米の品質は全国的に高い評価を受けている。
その米を育む滋賀県の棚田は、農産物の生産の場であるだけでなく、土砂流出の防止や水源かん養、生きものの生息環境の保全、美しい景観の形成など多様な役割を担っている。山から里へ、そして琵琶湖へとつながる水の流れを守る棚田は、「森・里・湖」のつながりそのものだ。
一方で、地形が急で農作業に手間がかかる棚田は、担い手の減少や高齢化により集落だけで維持することが難しくなっており、地域外からの協力がますます欠かせなくなっている。
棚田ボランティア「たな友」は累計488人が登録
こうした棚田を支える仕組みとして、県は2021年9月から棚田ボランティア登録制度「たな友」を運営している。登録すると、ボランティア活動やイベントの情報を受け取れ、県内各地の棚田保全活動にサポーターとして関われる。
直近では累計488人が登録し、2024年度は425人が棚田ボランティアに参加した。田植えシーズンを前に、さらに参加の輪を広げることを呼びかけている。
2つの認証条件を満たす米だけが「しが棚田米」に
今回創設した「しが棚田米」認証制度は、味や品質だけでなく、その背景にある風景と人の営みごと価値として伝えることを目的としている。
認証を受けるには、「たな友」の受け入れを行う集落・地区で栽培されていることと、滋賀県独自の「環境こだわり農産物」認証を取得していることの2つの条件を満たす必要がある。「環境こだわり農産物」認証は、化学合成農薬と化学肥料の使用量を慣行の5割以下に削減し、琵琶湖への環境負荷を減らす技術で生産された農産物を県が認証する制度だ。
棚田保全と環境配慮型農業という、滋賀らしい2つの価値を同時に体現したお米だけが「しが棚田米」を名乗れる仕組みとなっている。
4月に制度開始、9月に販売スタート
認証ロゴマークと統一パッケージを使ったお米の販売は9月からを予定している。ボランティア活動の募集は通年で行い、特に農繁期の4月から9月に参加を呼びかける。
現地での活動が難しい人向けには、寄附で棚田保全を応援できる「しが棚田トラスト制度」も案内していく。