東京商工リサーチが発表した調査によると、調理用包丁メーカー38社の最新期(2024年9月-2025年8月期)の売上高は167億3,300万円(前期比2.5%増)、利益は6億2,300万円(同44.5%増)となり、いずれも過去最高を更新した。
背景には、訪日外国人の増加による需要拡大がある。訪日客が日本国内で商品を実際に手に取り、体験を通じて購入する動きが広がっており、繁華街の量販店や市場に併設した店舗、調理体験などを通じた販売が伸びている。
また、日本食の世界的な広がりも追い風となっている。海外の日本食レストランは約18万1,000店と10年で2倍以上に増え、業務用・家庭用ともに包丁需要が拡大。輸出を強化するメーカーも増えている。
国内では、ふるさと納税の返礼品としての需要も堅調で、コロナ禍の巣ごもり需要を契機に再評価された家庭用需要も下支えしている。一方で、原材料高の影響で収益が圧迫される企業もあるが、価格転嫁や付加価値の高い体験型販売の取り組みが利益を押し上げた。
都道府県別の売上高では東京都が70億円超で最多となり、岐阜県、新潟県、高知県、大阪府が続いた。岐阜県は関市を中心とする刃物産地として知られ、新潟県は燕市・三条市を擁する金属加工の集積地、高知県は「土佐打刃物」、大阪府は堺市の「堺打刃物」など、それぞれ特色ある産地を抱える。
業界は老舗、小規模事業者が中心で、後継者確保が課題となっている。