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第二回 ルートA Tokyo Bay ― One and Onlyと思って作ったルート

 こんにちは。東京・中央区茅場町でインバウンド向けのツアー会社を運営している肥塚(こえづか)由紀子です。前回の原稿では自己紹介と、どういう経緯でインバウンド向けのツアー会社を始めたかを書きました。今回は提供している各ルートをどうやって始めたのか、その思いと背景にある出来事などを書くことが出来ればと思っています。

 2006年、私はそれまで勤めていた会社を辞めてフリーになっていました。漠然と海外からの訪日客に日本を紹介するサービスをやりたいなと思っていましたが、最初は特にコレと決めていたわけではありませんでした。その頃友人が「自転車に乗って町を観光するガイド付きのサイクリングツアーを始めた人が京都にいて、その人の話が面白かったよ」と教えてくれました。

 サイクリングツアー? そんなツアー聞いたことないけれど、とても面白そう。東京で訪日外国人向けにサイクリングツアーを始めたらどうだろうと考え、京都の会社の方にメールを送り挨拶をしました。インターネットで調べてみたところ、日本でガイド付きサイクリングツアーをやっている人、会社はほかには見当たりませんでした。

 一方、海外、特にヨーロッパの有名観光地では、サイクリングツアーを提供している会社はすぐにいくつか見つかりました。東京に観光客向けのサイクリングツアーがないのは何でだろう? 何か障壁があるのか? しかし、当時は外国人観光客向けのツアーそのものが少なく、バスツアーぐらいしかありませんでした。

 まあ、失敗しても大した痛手ではないから、とりあえず始めるか、という軽い気持ちで、京都のサイクリングツアーの事を教えてくれた友人、通訳案内士の資格を持っているけれどガイドはしていなかった友人、それと夫と私の4人でツアーを始めました。私以外は月~金は一般の会社に勤務していたので、ツアーは土曜日に催行することにしました。

 ルートはどうする? 最初はそこから。都内の有名な観光地、外国人が好みそうな場所をピックアップしてそれを線で結んでルート作り。最初は良くわからず、大通りを選んでいたり、走りにくい道だったりしましたが、試走を重ねて最初のルート「Route A – Tokyo Bay Ride」が出来上がりました。

 丸の内を出発し、常磐橋、日本橋、永代橋で隅田川を渡って、そこから佃島へ。佃の漁師が魚河岸を作ったことを説明した後、ハイライトの一つである築地市場へ。当時はまだ市場の中に観光客も入ることができ、外国人のゲストをぞろぞろ連れて、卸売り市場の中を見て回っていました。

築地市場の競りの様子

 築地で買ったマグロを持ってお台場へ。海岸でお弁当と築地のマグロを堪能して、お台場公園から日の出桟橋へ向かう水上バスに乗り込みます。自転車をそのまま載せることができて、サイクリングと海上交通の組み合わせはとても良いアクセントになっていました。残念ながらコロナ禍中にこのルートはの水上バスは休止となって今もまだ復活していません。

 日の出から浜松町を抜けて増上寺へ。ここでもギリギリまで東京タワーが見えないルートを選んで角を曲がると、ドーンと東京タワーが見えるようにしました。後ろから「Wow」という声が上がると、「やったね!」とほくそ笑んでいました。増上寺の後は愛宕神社。ここで紙芝居を使って曲平九郎の物語を語り、出世の階段を上がります。ここからは最後の皇居へ。皇室の話は、世界中どの国の人も一番興味があるようで質問も飛び交います。ここから丸の内へ戻って終了。走行距離は23キロ、6時間のコースでした。

 自画自賛ですが東京の古い街並み(佃島など)と新しい東京(お台場)のコントラストを感じてもらう良いコースだと思います。現在もスタートとゴールの場所やいくつかの観光ポイントは変わっていますが、Route A – Tokyo Bayは人気コースの一つです。

 当初はこのコース一本でと思っていましたが、全く宣伝もしていなかったのに、徐々にゲストが増えて、また予想していなかったリピーターも出てくるように。それじゃあ、日曜日もやるかとなり、2008年に2つ目のコース「 Route B – Sumo Wrestlers Ride」を作ることになりました。次回はそのお話を。

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