楽天グループ(三木谷浩史会長)は8月2~6日、同社最大級の体験イベント「Rakuten Optimism 2023」を神奈川・横浜のパシフィコ横浜で開いた。同イベントは、コロナ禍の影響もあり4年ぶりに開催。トラベル関連では、2日目となる8月3日に宇宙飛行士で未来圏代表の野口聡一氏と同社上級執行役員コマース&マーケティングカンパニーヴァイスプレジデント トラベル&モビリティ事業事業長の髙野芳行氏が登壇し、「多様性とチームビルディング」をテーマに話した。髙野事業長は、「旅行業界ではインバウンドが拡大しており、外国人労働者の受けれなど多様性が必要」と説いた。野口氏は「多様性は、時代の変化に対応するための一つの手段。複雑さが増すときは、単一なチームより多様性あるチームが勝る」と述べた。
同イベントは、「楽天エコシステム(経済圏)」の概念とサービスへの理解促進を図るとともに、多くの方に新たな発見のきっかけとなる場を提供することを目的に開催。
会場では、業界向けのビジネスカンファレンスと、一般ユーザー向けのフューチャーフェスティバルの2つのコンテンツに分けて用意。ビジネスカンファレンスでは、楽天グループのビジネスリーダーや、世界で活躍する有識者が招かれ、トラベルのほか、Eコマースやフィンテック、スポーツ、通信、サステナビリティといった領域で講演やパネルディスカッションが行われた。
会場内では、楽天トラベルのブースも設けられ、温泉やテーマパーク、韓国などのテーマごとに写真撮影などの疑似旅行体験をする人でにぎわった。
嫌われない勇気が組織を強くする
髙野事業長と野口氏のセッションでは、チームビルディングの参考として、タックマンモデルを用いた組織の成長のステージが紹介された。
野口氏は、「形成期(フォーミング)」「混乱期(ストーミング)」「統一期(ノーミング)」「機能期(パフォーミング)」の4ステージのうち、「ストーミングでのボトムアップが重要性」を示した。チームメンバーがいかに発言でき、リーダーが発言を聞き、聞いたうえでチームのベクトルの修正をすることの必要性を述べ、「ストーミングは小さないさかいを産む作業。リーダーは嫌われる可能性があるが、日本人は嫌われたくないというバイアスがある。ここは嫌われない勇気があるとうまく乗り越えられる」と説いた。
宇宙飛行士を例に挙げ、宇宙飛行士ではチームビルディングが重要視され、最初には全く相手のことを知らない中から始まるが、メンバーが自己主張をしてその違いを認識していくことを紹介した。「嵐の先にこそ、チームがまとまり、成果が見えてくる」と語った。
髙野氏、「多様性が日本で言うと指示待ちの組織が多いと言われている。多様性あるチームにより成果を実感することはある。今後は、急速な変化には多様性のあるチーム作りがより重要になってくる」と話した。
安全性・需要があれば安価での宇宙旅行は実現可能
今後、100~300万円で宇宙旅行が実現するかについて、野口氏は「一つは安全性の問題があるが、ここ20年は死亡事故が起きていない。今後は、比較的安全な乗り物になっていくはずだ。現在、価格は億単位となっているが、宇宙を巡るとしても遥か彼方にいく旅があれば、地球の周りをちょっと見て帰るものもある。需要が増えれば、飛行機が庶民の移動手段になったようになる。そこまで遠い話ではない」と答えた。
楽天トラベルでの宇宙旅行の取り扱いについて、髙野氏は「実現すれば、楽天トラベルで取り扱いたい」と意欲を示した。