大好きな沖縄が教えてくれたこと・・・
今回は、私が今のこの仕事を始めるきっかけについてお話します。
2014年7月、旅行会社を退職し、翌月には単身沖縄へ。在職中、国内商品企画で最もお世話になり、土地勘もありました。そこで、人脈もそこそこできた国内トップクラスの観光地、きっと何かできるだろうという大変安易な気持ちでのスタートでした。
当時から既に旅行業界では宿単体、あるいはアクセスセットの素材型商品から付加価値を付けた提案型商品へのシフトが言われていました。しかし、現実的には店頭に並ぶパンフレットは従来然としたまま。商品造成に携わる社員も相変わらずレート交渉と在庫確保が一番の仕事でした。
幸いにも私の場合、企画担当者時代より沖縄という特殊なエリアに携わっていました。その上、個人的にも沖縄の魅力にとりつかれて、「自分自身が楽しい」「お客様に紹介したい」という沖縄を商品に落とし込んでいくようになりました。しかし、地元にいない旅行会社社員が交渉できることには限界がありました。その結果、地元のホテルや観光施設等関係機関の皆様に交渉をお願いする。当然、なかなか希望するような結果が得られないというジレンマは増すばかりでした。
答えは、簡単に仕入られる素材ではなかったから・・・
民泊体験からの気付き・・・
沖縄で暮らし始めて初めて迎える秋、全国から子供たちがやってくる教育旅行シーズン。噂でしか知らなかった民泊を初めて生で見学をして、感動!!入村式では不安でいっぱいだった子供たちの顔。それが、数日間の民泊体験を経て、離団式では笑顔がいっぱい、涙もいっぱいでした!!
当時沖縄県では、年間入域者数が600万人を超えていました。そのうち、修学旅行生は40万人。そして、そのうち半分の20万人の子供たちが民泊を体験します。もちろん、受入れ先は地元沖縄の一般家庭。従来私たちが携わってきた、いわゆる観光事業者ではない皆さんばかり。
だからこそ、通常の沖縄観光では味わうことのできない本当の沖縄の姿に触れる子供たちにとって貴重な体験になったと感じます。(沖縄の観光客が伸び続ける、特に20代、30代に人気なのはそこも起因しているのでは?)
沖縄を訪れるすべての観光客に感動してもらいたい
この感動体験を子どもだけではなく、沖縄に来る一般の観光客にも知ってもらいたい、知ってもらうことでリピーターになってもらいたい、と考え始めたのが沖縄での事業でした。
青い海と白い砂浜、亜熱帯な気候・風土は十分過ぎるほどの観光資源です。しかし、それだけではない、それ以上の魅力があることに気付くことが大切です。今では当たり前のように言われるようになった「異日常体験」こそ、「旅の醍醐味」です。まさしく、これからの旅に求められることではないでしょうか。
(これまでの寄稿は、こちらから) https://tms-media.jp/contributor/detail/?id=23
寄稿者 山田幸一(やまだ・こういち) 体験型古民家宿及び地域限定旅行業「旅ノ舎」代表