東京山側DMC師岡龍也は10月2日、気仙沼DMCと連携し、宮城県気仙沼市でファミリー向けの2泊3日ツアーを始める。サメの水揚げや解体、漁業に関わる仕事、震災後のまちの歩みに触れる内容で、地域の人と旅人をつなぐ気仙沼DMCの新たな挑戦となる。

気仙沼のファンを増やすツアーへ
東京山側DMCの師岡龍也さんは5月12日、宮城県気仙沼市を訪れた。迎えたのは、1月から気仙沼DMCとして新たな挑戦を始めた夫婦だ。2人は、東京山側DMCが行う東京山側DMC地域創生プロデューサー資格養成講座の受講生でもある。大好きな気仙沼のファンを増やしたいと動き、悩み、学び続ける2人の思いに応える形で、師岡さんの伴走が始まった。気仙沼DMCが目指すのは、観光地を紹介するだけの案内ではない。地域に暮らす人の声を聞き、事業者の思いを受け取り、旅人が気仙沼の奥行きに触れられる時間へ編集することだ。
インフラ復興の先に生まれた問い
2人は震災後、気仙沼に戻ることを決め、家業である土木の仕事に力を注いできた。道路や防潮堤が整い、15年を経てインフラとしての復興は大きく進んだ。そのなかで感じたのが、「インフラが整ったのに人がいない」という違和感だった。道路も学校も店も、人がいてこそ意味を持つのではないか。その問いが、観光案内所の開設につながった。観光案内所では、自分達のやりたいと思うことを全部やる!訪れた人の困りごとに向き合い、地域の魅力を伝えてきた。現場で集めた声をもとに、旅人の期待と地域の受け入れ先をつなぐ役割を担ってきたことが、気仙沼DMCの土台になっている。
朝から夜まで歩いた3日間
視察は3日間にわたって行われた。朝から晩まで、気仙沼の朝、昼、夜の表情を探し、地域の会わせたい人をまわってもまわっても足りなかった3日間。夜は夫婦の家に泊まり2人とともに午前0時を回るまで1日の振り返りを重ねた。子ども達とも遊んだり、運動会で1位をとる約束をした長男は運動会を頑張った。龍也さんのファンが多い理由もわかった滞在期間だった。3日間で紹介した地域の人は多い。どこへ行っても快く話を聞かせてくれる姿があり、それもまた気仙沼に根付くおもてなしの精神を表していた。この地域の優しさに気仙沼DMCも支えてもらっているという。師岡さんは、地域の人たちについて「自分のためではなく、みんなが地域のために何かしたいという思いを持っている」と話した。その思いを持つ人が多いことに驚き、必ず良いツアーをつくろうと決意を深めた。

午前6時40分の市場から始まる価値
今回のツアーは、朝の市場で水揚げを見られる時間を大切にする。当初は土日開催も想定していたが、午前6時40分からの市場見学に合わせるため、前日入りを含めた行程にした。早朝の市場には、その時間にしか出会えない気仙沼がある。魚が水揚げされ、港が動き出し、地域の仕事が一斉に始まる。観光用につくられた景色ではなく、暮らしと産業が動く瞬間に立ち会えることが、このツアーの大きな価値となる。参加費は交通費と宿泊費を別にして1人68000円。決して安い金額ではないですが【来たい】という声に全員が全力で応えおもてなしをしよう!という熱い想いで作ったツアー!!5組限定で募集したにもかかわらず、翌朝の募集開始後、1時間で両日とも満員となった。ツアー1は11人、ツアー2は13人が参加予定で、地域にもたらす経済効果の面でも大きな可能性を示した。


1時間で満員となった理由
ツアーは10月2日から10月4日までの2泊3日で実施する。さらに翌週にも開催することが決まり、東京山側DMCと気仙沼DMCの動きは一気に加速した。参加費は交通費と宿泊費を別にして1人68000円となる。それでも翌朝の募集開始後、1時間で両日とも満員となった。地域にもたらす経済効果の面でも、大きな可能性を示す結果となった。師岡さんは「それだけ気仙沼が魅力的だということだ」と話した。視察からわずか2週間でツアーが形になり、満員となった動きは、地域の価値が旅として届く瞬間を示している。
気仙沼DMCの価値が動き出す
今回のツアーは、東京山側DMCと気仙沼DMCの初タッグとなる。地域外の視点と、地域内で積み上げてきた一次情報が重なり、気仙沼ならではの旅が形になった。気仙沼DMCの強みは、現地に根ざしていることだ。観光客の困りごとを日々聞き、地域の人の思いを受け取り、双方をつなぐ場所として動いてきた。その蓄積があるからこそ、単なる体験の寄せ集めではなく、人と産業とまちの背景をつなぐツアーにできる。そしてその思いに力をかしてくれる地域の仲間もいる。震災を越えて続いてきた暮らし、漁業を支える人、地域のために何かしたいと動く人がいる。その一人ひとりの思いを旅の中でどう伝えるのか。師岡さんの伴走を受けながら、気仙沼DMCと地域のメンバーがつくるツアーの今後に注目したい。
寄稿者 熊谷綾(くまがい・あや)気仙沼DMC KNEWS