世界旅行ツーリズム協議会(WTTC)は6月11、FIFAワールドカップ2026を契機に、デジタル技術を活用した国境管理と査証手続きの高度化が進んでいるとするレポートを公表した。
ドイツ大会(2006年)から北米3カ国共催の2026年大会まで20年間の変遷を振り返り、国際旅行の円滑化に向けた新たなモデルが生まれつつあると評価した。
レポートでは、南アフリカ大会のイベント査証制度やロシア大会のFAN ID、カタール大会のHayyaカードなどを紹介。2026年大会では、米国の査証優先予約制度「FIFA Pass」、カナダのNEXUSやArriveCAN、メキシコの自動化された入国手続きなどを挙げ、デジタル化による円滑な移動が進展しているとした。
WTTCのグロリア・ゲバラ会長兼CEOは、ワールドカップが「国境管理を障壁から国際的な接続性を高める仕組みへと変えることを示してきた」とし、将来的には複数国で相互運用できるデジタルIDや事前審査システムの構築が必要だと訴えた。
一方で、実際の大会運営では査証や入国審査を巡る課題も浮上している。開幕直前にはソマリア人審判のオマル・アルタン氏が有効な査証を持ちながら米国への入国を拒否され、大きな話題となった。
また、米国では一部国籍を対象とした渡航制限や厳格な入国審査が続いており、ファンや大会関係者の渡航に影響を与えているとの指摘もある。
WTTCのレポートはデジタル化や事前審査による移動円滑化の成果を強調しているが、米国旅行協会(U.S. Travel Association)は査証発給体制や入国審査能力の強化を求めており、課題認識には温度差がみられる。