堺市は10月7日から12月7日まで、鉄炮鍛冶屋敷(堺市堺区)で企画展「堺緞通と鉄炮―『緞通王』藤本荘太郎と井上関右衛門―」を開く。堺で江戸時代から作られてきた手織りじゅうたん「堺緞通(さかいだんつう)」と鉄炮鍛冶の意外なつながりを紹介する。
緞通(だんつう)は、中近東から中国を経て日本に伝わり、江戸時代から近代にかけて盛んに生産された手織りの敷物。堺緞通は1831(天保2)年、堺の糸物商、藤本庄左衛門が中国製の敷物や鍋島緞通を参考に作ったのが始まりとされる。明治期には欧米にも盛んに輸出され、堺を代表する産業の一つに成長した。
企画展では、堺緞通を発展させ「緞通王」と呼ばれた藤本荘太郎(1849~1902年)と、その親戚で「最後の堺鉄炮鍛冶」とされる井上家第11代当主、井上関右衛門壽次(1824~1908年)の交流に焦点を当てる。
鉄炮鍛冶屋敷は、江戸時代の鉄炮鍛冶の作業場兼住居として全国で唯一現存する建物。井上家に残る1879(明治12)年の「堺緞氈受取状」や明治時代の堺緞通、第4回内国勧業博覧会の出品解説書などを展示し、鉄炮とじゅうたんという一見異なる堺の産業を結んだ人々の交流をたどる。
大阪・関西万博の堺市主催催事で展示された堺緞通「アルフォンス・ミュシャ『クオ・ヴァディス』」も特別公開する。ミュシャの油絵「クオ・ヴァディス」を原画とした作品で、今回は鉄炮鍛冶屋敷の奥座敷に実際に敷いて展示する。
鉄炮鍛冶屋敷は阪堺線高須神社停留場、南海本線七道駅からそれぞれ約300メートル。開館時間は午前10時~午後5時。入館料500円。中学生以下は無料。