話したいことがあって、友人を誘って飲みに出る。けれど、席につくとすぐには本題に入れない。近況や昔話など、他愛のない話をしながら、ゆっくり杯を重ねていく。夜も深まり、酔いが少し回ったころ、「実はね」と、ようやく口を開く。ひとたび話し始めると、胸の内にしまっていた言葉が、堰を切ったように次々と出てくる。
秋の夜は長い。店のざわめきもいつしか遠くなり、友人は急かすことなく、ただ静かに耳を傾けてくれる。答えが欲しいわけではない。聞いてもらうだけで、心が少し軽くなることもある。こんなふうに本音を語れる友がいる。それだけで、人生はずいぶんありがたいものだと思う。秋の夜長に、もう一杯だけ杯を重ねたくなった。
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