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我が街の旅行屋さん

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この業界に身を置いて今年で半世紀がたちます。当時の九州は新婚旅行のメッカであり、 特に宮崎、霧島、指宿の南九州ルート、別府、阿蘇、雲仙の北九州ルートの2つのルートはゴールデンルートと言われていました。当然のごとく、挙式は大安吉日にして翌日からはハネムーンを実施。ゴールデンルートの宿泊に関しては、大安翌日が絶対に宿泊が取れない状況が続き、その状況は一年中絶えることがありませんでした。さらに職場旅行、町内会旅行、○○会の親睦旅行、○○会社の接待旅行などが実施され、限りなくお客様があふれていた時期でした。

平和産業の典型である観光業界の変遷

大手旅行社の支店数を含め、全国では約3万社がそれぞれ固定客を中心に営んでいました。大阪、東京の大都市圏では、四つ角全部に必ず旅行会社が存在していたものです。それが、高度成長が過ぎてバブルが終わり、リーマンショックの経済的ダメージや雲仙普賢岳の噴火火砕流、阪神大震災、東日本大震災、西日本豪雨など多くの激甚災害が発生し、今回のコロナ禍でおそらく7割近くの旅行社が廃業に追い込まれたのではないかと推察します。それだけではなく、激減の要因は、ネットを中心としたOTA(オンライントラベルエージェント)の影響も大きくありました。このような傾向からもう従来の旅行業界の将来は、真っ暗なのではと思いますが、決してそうではありません。今までの荒波を乗り越え、街に根ざしている旅行屋さんたちは、地元の方々からの信用に成り立っています。愛する人との旅行や記念旅行に関しては、必ず、身近な旅行屋さんに相談するからです。国内の観光業界は、中規模以上の旅館、観光バス、土産物屋、観光施設などは、団体旅行がないとどうしても収益が上がらないし、経営が厳しいのです。そして、その団体旅行をお世話しているのが街の旅行屋さんなのです。

地域活性化は観光促進が手っ取り早い

地域として、事業者としてインバウンドも大切ですが、基本の収益性を確保するにはどうしても国内団体旅行が7割を占める必要があります。そのためには、JRなど鉄道、航空、船などの輸送手段(キャリア)、旅館等の観光事業者、その上に地元自治体が 共同で地元誘客をする必要があります。すでに実施している地域があり、実際にお客様は動いています。観光こそが、一番ローコストで地域活性化し、かつ、地元経済も潤うものと確信を得てます。是非、実施していきましょう。

寄稿者 松瀬裕二(まつせ・ゆうじ)九州観光旅館連絡会代表理事

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