電気自動車(EV)の充電器事業などを手掛けるテラモーターズ(徳重徹会長、上田晃裕社長)は9月26日、2025年度までに東京都内約1000カ所に「超急速充電器」を実質無料で設置することを発表した。日本国内平均40kwの約3倍以上となる150kWの充電器を新たに採用し、都内のガソリンスタンドとほぼ同数を配置する。総事業費100億円超。6分で100キロの走行を可能にするなど、充電スピードの加速化などEVの普及課題の解消、EV先進国化を促進する。徳重会長は「ガソリンスタンドに近い感覚で使えるようになる。心理的ハードルを下げることで、EVは急速に普及するはずだ。EV後進国から先進国へとなる変革の時が来た」と話す。
「EV後進国」である日本の3つの課題
同日に行われた発表会では、徳重会長がEV後進国となる日本の3つの課題として、①充電スピードの急速化②時間課金から従量課金への移行③機械式駐車場への対応-を指摘した。
充電スピードは従来の急速充電器から3倍に
今回、東京都内の行政施設や商業施設、コンビニ駐車場などに設置する充電器は、家庭に設置する普通充電器(約5kW)や、日本国内で最も多いといわれる急速充電器(約40kW)を大きく超える150kWタイプを採用(一部は90kW)。6分の充電で約100km(東京駅~箱根)の走行を可能にする。
時間課金から世界基準の従量課金を採用
現在、日本国内では時間課金制が採用。20kWでも50kWでも時間で同料金となっている。バッテリーの状態などで充電量が変動するなど、EV導入への課題となっている。欧米では従量課金がスタンダードであり、従量課金を可能とすることで、充電器事業への参画のハードルが低くなる。
都内1000カ所の設置で機械式駐車場利用者のハードルを低下
東京を含む都市部のマンションでは機械式駐車場が多く、EV充電器導入への技術的制約が多い。現在、東京都内にはガソリンスタンドが968カ所あるが、ガソリンスタンドの数を超える1000カ所に急速充電スポットを配することで、近場において短時間で大容量の充電が可能になる。EV導入へのハードルを下げることにつながる。
急成長へ、他社連携や人員を大幅強化
同社は2010年に設立。インドなどアジア地域でEVの2輪車や3輪タクシーを販売してきた。EV充電インフラ事業には2022年4月に参入し、普通充電器の設置は順調に推移し、国内1200カ所以上と急速に増えている。2023年6月には、第三者割当増資などで総額40億円の資金を調達している。
今回の超急速充電器は、複数社との共同開発で実現したもの。今後は、普及促進で多数の企業と連携を進める。発表会では、第1弾として家電量販店を展開するコジマとの提携を発表した。普及促進のために、充電設備や設置工事、電気代、電気代基本料、メンテンナンスなどサイトオーナーの負担となるイニシャルコストやランニングコストを同社が負担する。収益は、エンドユーザーの充電料金課金のみの事業モデルを構築している。
また、事業の展開に合わせて人員体制を強化。1年前には社員が10人だったが、現在は120人、今後は300人まで増やす計画。