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KNT-CT、近ツー過大請求で9億特別損失も23年3月期は過去最高益

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 KNT-CTホールディングスは6月1日、2023年度3月期(2022年4月1日~2023年3月31日)の通期連結決算を発表した。全国旅行支援を追い風に国内旅行が好調であるほか、ワクチン接種会場の運営などコロナ関連のBPO事業が好調で、純利益は117億9千万円(前期は57億7100万円)と4期ぶりの黒字となった。これまでの最高益である2015年度(2015年12月期)の43億円の3倍に。ただ、連結子会社である近畿日本ツーリスト(近ツー)が新型コロナウイルスワクチンの関連業務などで過大請求を最大14億7000万円行っていたことが発覚し、調査費用9億円を特別損失に計上している。

 売上高は、売上高は80.2%増の2521億5200万円、営業利益は114億1千万円(前年は76億8600万円の赤字)、経常利益は120億5800万円(同38億8600万円の赤字)。

米田社長「信用回復に全力を尽くす」

過大請求に関して陳謝する米田社長(中央)

 決算会見の冒頭、同社の米田社長は「当社グループである近畿日本ツーリストの過大請求について、お客様、関係者、ひいては社会の皆様に多大なるご迷惑とご心配をおかけしていることに対して、心より深くお詫び申し上げます。信用回復に全力を尽くす」と陳謝した。同社は、決算発表日と同日の6月1日には詐欺の疑いで警察の捜査を受けている。

 旅行事業では、国内個人旅行のほか、再開は進む修学旅行が好調に推移。今後は2023年4月に新たに設けた高価格帯の宿泊商品などをオンライン販売する近畿日本ツーリストブループラネットの事業を加速する。クラブツーリズムでは、旅ナカ商品の充実化を図る。このほか、トピックスとして、学校のPTA業務をサポートする「PTA業務アウトソーシングサービス」を挙げた。

旅行外事業(900億円)が旅行事業(700億円)を上回る

 旅行事業と非所旅行事業については、2022年度が旅行事業700億円に対し、旅行外事業が900億円弱に。旅行事業の粗利益率約18%に対し、旅行以外事業は30%。旅行外事業は、2023年度はコロナ関連事業が過大請求に関連する指名停止の影響など大幅減となるが想定されている。

24年度は指名停止の影響を見込み減収減益

 2024年3月期連結決算は、地方自治体や法人などでの指名停止を見込み、売上高が前期比1.6%減の2482億円、営業利益が同69.3%減の35億円、経常利益71%減の35億円、純利益74.6%減の30億円の減収減益としている。米田社長は「修学旅行の指名停止などで約3年間は厳しい状況が続くことが予想される。教育旅行では探求学習を進化させるなど、新たな提案ができるように尽力する」と話す。

※取材:TMS編集部 長木利通

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