日本旅行業協会(JATA、正会員1140、協力会員326)は19日、第68回定時総会を東京都千代田区の経団連会館で開いた。2023年度事業報告、収支決算、2024年度事業計画、収支予算、役員改選を承認。髙橋広行会長は、旅行業の将来の発展に向けて①海外旅行の復活②高付加価値化サービスの提供③休み方改革による旅行の平準化④業界の協調と共創⑤人材確保—などに会員が一丸となり、全ての取組において果敢に挑んでいく決意を述べた。
定時総会の冒頭、髙橋会長は会員企業で不正事案が相次いでいることを謝罪。今後は、社長が陣頭指揮を取りながら、コンプライアンスの徹底を最優先で取り組む方針を示した。JATAでは、外部の専門家から成る有識者委員会を設置。3月には指導内容に基づいた再発防止策を設け、実施している。
髙橋会長は、旅行業界の復活に向けては、海外旅行の復活を挙げた。2024年は、海外旅行自由化60周年の十記念年であり、日米観光交流年に関連した活動などを通じた海外旅行の機運醸成や、パスポートの所持率向上、地方空港を活用したチャーター支援などに取り組む。
旅の高付加価値化に向けては、アドベンチャートラベルなどを通じて、地域のサステナビリティと収益性が高い商品の開発や販売を加速する。また、SDGsへの取り組みとして昨年度から始めている「JATA SDGs アワード」は継続して実施する。
JATAが2023年度から運用を始めた「観光産業共通プラットフォーム」に対しては、宿泊施設の情報一元化が進み、能登半島地震でも情報が集約化できたことから評価した。このほか、人手不足や働き方改革の対応によるオーバーツーリズムの解消についても言及した。
来賓として参加した髙橋一郎長官は、1月1日に発生した能登半島地震への対応に謝意を述べると共に、北陸振興への観光の力による復興支援を求めた。
任期満了に伴う役員改選では、髙橋広行会長(JTB会長)、小谷野悦光副会長(日本旅行社長)、原優二副会長(風の旅行社代表)、酒井淳副会長(阪急交通社社長)、蝦名邦晴理事長が再任。運営役員は、岩切道郎氏(名鉄観光サービス社長)、神田真也氏(ANA X社長)、菊間陽介氏(ワールド航空サービス社長)、坂西豊氏(エムオーツーリスト社長)、高橋敦司氏(JR東日本びゅうツーリズム&セールス社長)、橋本亮一氏(ブルーム・アンド・グロウ)の6人が新任となった。