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東京再発見 第32章 普段着のスカイツリー

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 東京の都心部は、超高層ビルの建設ラッシュで、電波障害が起きる場所が増えていた。そのため、21世紀初頭から新たな電波塔の建設が計画されるようになった。

 その結果、2012年に東武鉄道の旧業平橋駅に隣接する貨物ヤード跡地に東京スカイツリーは完成する。高さは634m。タワーとしては、現在世界一位である。江戸の旧国名、武蔵国に語呂合わせしたことでも有名だ。

 そして、そのデザインは、日本の伝統美と近未来を融合されることと意図している。まさしく、現代の五重塔。地上面は正三角形。しかし、上層部に向かうと日本刀のような反りを持っている。このことによって、見る場所によって、その形が変わってくる。また、スカイツリーに登ると、タワーが巨大な日時計となり、時間ごとに、その影を落とす。

 開業当初は、2つの定番イルミネーション(「粋」と「雅」)であった。しかし、今では100種類以上になっている。LEDライトの進化がそれを後押ししているのだ。

 そして、単なる電波塔だけではなく、観光・商業施設として、開業年5月22日にグランドオープンする。東京スカイツリータウンという一大レジャーランドだ。展望台をはじめ、水族館などが入居している。スカイツリーの開業によって、お膝元である業平・押上地区は、東京の新たな観光コンテンツとして変貌していく。

鈍感さこそ、普段着の姿

 さて、東京の下町、特に城東地区には高い建造物がなかった。そのため、スカイツリーの完成は、そこに住む人々にとっても、日々の生活環境が一転したと言っても過言ではない。

 人は、日々の生活の中で、常に見えるものに対して、ある時は敏感であり、また、ある時は鈍感となる。近くにあった建物が取り壊され更地になると、「ここ、何があったっけ?」などと思うことしばしば・・・。しかし、スカイツリーほどの巨大建造物は、そのような鈍感さは出没せず、いつもの生活に溶け込んでいるのである。

 今回は、その普段着のスカイツリーの姿をご覧いただくこととする。

 有名な観光地から見ることができるものではなく、これは、生活感満載の場所に見える姿である。まさしく、このシリーズ東京再発見のテーマ、「脇役探しの旅」に合致するものである。

 普段着のスカイツリー、すべてを探し出すことは難しい。そのため、一定のルールを作って、探してみることにする。

それは、
・観光客が数多く来訪する場所は除外する
・スカイツリーの建つ墨田区と隣接する区に限定する
・夜景ではなく、昼間の姿に特化する

 勝手なルールを設定しているので、ご容赦いただくとして、今回は、墨田・台東・荒川の3区の「普段着」を紹介していこう。

墨田区の風景

鳩の町通り商店街からも見えます
鳩の町通り商店街からも見えます(墨田区東向島)
十間橋の隣の昭和チックな町並み
十間橋の隣の昭和チックな町並み(墨田区業平)
かなり有名となった小梅牛島通りの巨大な壁
かなり有名となった小梅牛島通りの巨大な壁(墨田区向島)

台東区の風景

町の水道屋さんと一緒に
町の水道屋さんと一緒に(台東区松が谷)
町中華の先に優雅に
町中華の先、優雅に(台東区松が谷)
電柱電線の向こうにすらりと
電柱電線の向こうにすらりと(台東区松が谷)
合羽橋交差点の先に
合羽橋交差点の先に(台東区松が谷)

荒川区の風景

都電沿線は、よくスカイツリーが見えます
都電沿線は、よくスカイツリーが見えます(荒川区・区役所前電停)
未来都市にも見える素敵な姿
未来都市にも見える素敵な姿(荒川区汐入公園)

(これまでの特集記事は、こちらから) https://tms-media.jp/contributor/detail/?id=8

取材・撮影 中村 修(なかむら・おさむ) ㈱ツーリンクス 取締役事業本部長

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