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シンガポールのファーイーストが日本展開加速 30年までに2500室体制、新ブランド投入も視野に

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シンガポールを拠点にホテル事業を展開するファーイースト・ホスピタリティから社長のマーク・ローナー氏が来日した。同社では2030年までに海外ホテルを1万室に拡大するビジョンを掲げている。最重要拠点だという日本では、現在の約2.5倍となる2500室を目指している。ローナー氏に日本市場でのブランド戦略など、今後の展望を聞いた。

-まずは日本市場の現状と今後の展望についてお教えください

マーク・ローナー氏(以下敬称略):私たちはこれまでシンガポールを中心に展開してきましたが、今後は本拠地以外で成長し、アジア太平洋地域を代表するホスピタリティ企業として成長したいと考えています。このため、今後成長が見込める日本を「事業拡大と更なる発展のための市場」と位置づけて注力しています。

日本では2020年の「ファーイーストビレッジホテル東京有明」開業を皮切りに、2021年に横浜、2023年に浅草、2025年には大阪・本町と難波に2軒展開し、現在はビレッジホテルで5軒を運営しています。顧客構成はホテルにより異なりますが、例えば有明は7割が日本人のビジネス客で法人需要が高いです。このほか、オーストラリアやヨーロッパからの訪日ツアー客も宿泊しています。浅草と大阪・難波は9割が海外からの訪日観光客。横浜は7割が日本人旅行者です。

今後も日本でのプレゼンスを拡大したいと考えており、2030年には現在の約1000室の2.5倍にあたる2500室まで増やす目標です。京都、福岡、札幌、金沢等に加え、北海道、沖縄といったリゾート地もターゲットとして検討しています。

日本は多様な文化や美しい自然を有し、歴史と現代が融合した非常にユニークなデスティネーションです。旅行者は今、単なる買い物や表面的な交流ではなく、より深い体験型旅行を求めており、その意味で日本は非常に魅力的な市場だと考えています。

フランスのような年間1億人以上が訪れる観光大国と比べて、日本はまだ成長余地は大きいでしょう。日本政府が掲げる2030年の訪日客数6000万人という目標は、十分達成可能だと考えています。

―アジア市場のなかでも、日本を特に重視している理由は何ですか

ローナー:アジア市場では日本以外にタイ、インドネシア、ベトナムを注視しています。このうちタイは成熟市場、インドネシアとベトナムは発展途上です。日本ほど多様な魅力を兼ね備えた市場はありません。

私たちの顧客基盤を見ても、日本へ行きたいというニーズは非常に強いです。私たちの重要拠点となるシンガポールのお客様でも、年に何度も日本を訪れる方がいます。

また、現在の地政学リスクなどを踏まえると、オーストラリアやシンガポールなどの市場から「安全な旅行先」として日本への観光客が増える可能性があります。

―2030年までに2500室体制を目指すとのことですが、具体的な戦略を教えてください

ローナー:現在さまざまな都市で交渉を進めているところで、先ほど挙げた都市に加え、東京や大阪でも軒数が増える可能性があります。基本的にはホテル運営受託契約を中心に進めますが、選択的な投資や買収も検討しており、柔軟に対応していきたいと考えています。

日本市場は他社も進出を狙っており、運営受託、買収ともに厳しい競争環境にあります。しかし、我々はミッドスケール(中価格帯)のホテルである「ビレッジホテル」ブランドに注力しており、これが強みだと考えています。

ミッドスケールの市場を重視する理由は3つあります。まずは市場規模が大きいこと。次にADRや稼働率が好調であること。最後は国際ブランドのホテルがまだ少ないことです。ラグジュアリーや高価格帯の分野では国際的な外資系ホテルチェーンが強い一方、ミッドスケールは独立系ホテルや国内ホテルが中心で、新規参入企業にとって参入の機会が見つけやすいと考えています。

参入に際しては、建物の立地や骨組みなどの基礎条件が優れた物件を重視しています。改修工事の際、大規模な投資を行わずにリポジショニングできるためです。

私たちのホテルの価格帯は1泊1万~2万円程度を想定しており、既存のホテルで2万円前後で運営しているところもあります。人件費やインフレも進んでいますが、ADRの伸びが好調だったことから、収益性を維持・向上できています。

―競争が激しいなかで、他社といかに差別化していくお考えですか

年に1回見直しているというビレッジ・パスポート(浅草)

ローナー:私たちはホテル運営会社としての運営ノウハウに強みを持っています。収益管理、ブランディング、デジタル活用などもそうですが、特にゲストサービスの品質には自信があります。スタッフはお客様の旅の目的を理解し、例えば日本人のビジネス旅行者か、訪日観光客かなどを知ることで対応を変えています。

例えば訪日観光客には周辺地域での体験を積極的に紹介しています。ビレッジホテルでは地域とのつながりを非常に重視しており、全店舗で近隣の観光スポットや店、文化的なマナーなどを紹介する「ビレッジパスポート」をお客様に提供しています。

ビレッジブランドでは単なる宿泊施設ではなく「地域社会の一員になるホテル」を目指しています。パスポートは地域のパートナーと協力し、共生するためのツールとして活用しています。

また、お客様のニーズに常に気を配り、決して「ノー」と言わず解決策を見つけられるようにしています。こうした五つ星ホテルレベルの対応をミッドスケールのホテルで行っているため、お客様には大きなインパクトを与えており、口コミも好評です。

―今後は他ブランド展開も視野に入れていますか

ローナー:日本にウェルネスブランド「Oasia(オアジア)」に大きな可能性を感じています。オアジアでは、ヨガやアクアジムなどのウェルネスプログラムを提供しており、建築面でも植物を多く取り入れ、風通しの良い開放的な空間を提供しています。

日本は温泉文化やウェルビーイング需要が強く、非常に相性が良い市場です。温泉地での開業はもちろん、北海道のスキーリゾートや沖縄のリゾートでも可能性があると見ています。

また、ラグジュアリーの「The Clan Hotel(ザ・クラン・ホテル)」についても、東京や京都で可能性があると考えています。現在はシンガポールで展開しており、歴史的なティーセレモニーなどを提供するストーリー性が強いホテルです。

-日本での販売戦略についてお考えをお聞かせください

ローナー:私たちのような中規模のホテル運営会社にとって、OTAとの連携は不可欠です。OTAは重要なパートナーで、国際的なOTAだけでなく、日本国内のOTAとも幅広く連携しています。日本では、じゃらんや楽天トラベルなどを経由して法人需要を取り込んでいます。

一方で、OTAだけに依存するのではなく、自社サイト経由の予約や法人契約、ホールセール事業も強化しています。シンガポール側のデジタルチームとも連携しながら、自社サイトの強化やデジタルマーケティングにも注力しています。OTAを競合ではなくパートナーと捉えつつ、販売チャネルのバランスを最適化していきたいと考えています。

―デジタル化にも注力されているとのことでしたが、どのように対応されていますか

ローナー:おもてなしにおける「人間らしさ」はAIでは代替できませんが、業務効率化ではAI活用を積極的に進めています。特に予約部門ではAI関連のプロジェクトを進めているところです。

現在は、メール予約をAIが解析し、システムに直接アクセスして空室の確認や見積提示まで自動対応する仕組みを開発しています。近いうちに実装する予定です。

現在は旅行者がChatGPTやClaudeなどを通じてホテルを探す時代になっています。このため私たちはGEO(生成エンジンの最適化)への対応も重要になると考え、解決策を模索しているところです。

さらに、デジタルチェックインやスマートフォンを使った館内コンシェルジュ機能など、宿泊体験全体のデジタル化も進めています。デジタルチェックインはシンガポールですでに導入しており、日本でも近い将来の導入を検討しています。

情報提供:トラベルビジョン(https://www.travelvision.jp/

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