名古屋に生まれた私は大学進学以来、故郷を離れ外国での十五年間を含め各地を転々として暮らしてきた。今は東京に住んでいるが、年を重ねるにつれ故郷へ帰る機会も少なくなった。名古屋での墓参りも容易ではなくなってきたので、このたび思い切って両親の墓を東京へ移すこととした。墓石を移す前にお精抜き(魂抜き)の法要を済ませたらお墓の跡地は静かな更地となった。何もなくなったその場所を心地よい初夏の風がすっと吹き抜けていった。
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編集長のひと言 小川さん、いつも季節感にあふれる俳句をありがとうございます。今回は季節感にくわえ、墓じまいという昨今の風潮をとらえた社会性のある一句ですね。我が家はどうするのかと、考え他読者も多いかもしれません。