中華人民共和国訪日観光客受入旅行会社連絡協議会(中連協)が総会をリアル開催
中華人民共和国訪日観光客受入旅行会社連絡協議会(中連協、会長=黒澤信也〈JTB グローバルマーケティング[GMT] 前代表取締役社長〉)は6月27日、第 24 回中連協通常総会を東京・霞が関の全日通霞が関ビルで開いた。新会長にJTB GMTの代表取締役社長執行役員の石田恒夫氏を選任。石田新会長は、「今から備え、いかに準備するかは、われわれに課された使命だ。自然、食、歴史、文化など、多くな交流をしてもらい、日中の友好の一つのきっかけとして、皆とともに頑張っていきたい」と意気込みを語った。
石田新会長「中国人が望む旅をしっかり準備」
石田新会長は、今年が日中平和友好条約締結45周年であることを強調。「今年は訪日インバウンドが戻ってきた記念すべき年。今後の中国マーケットの動きに見る上で重要な年であり、幕開けを願って準備をしていきたい」と抱負を述べた。
インバウンドの現状については、春に中国以外のインバウンドが戻り、日本のインバウンド業務はパンクしていることを明かした。
今後に向けては、「アフターコロナ、ニューノーマルな中国市場はどう変わるか。アドベンチャーツーリズム、スノーツーリズム、グランピングと今後中国人がどのような旅を望むのか。しっかり準備をしていきたい」と話した。
黒澤会長「日本向けツアーの再開が中国復活のカギ」
黒澤会長は、コロナ禍について「2019年ではインバウンド6千万人に向けての機運が高まっていたが、コロナ禍に入り中国を含めた入国が止まり、業界全体が多大なるダメージを負うと共に経営方針の転換が余儀なくされた」と振り返った。
現状については、「いまだに十分に回復できていない事業者は多いが、国内は昨夏、インバウンドは昨年10月から水際対策が緩和され、特にインバウンドは2019年対比で3分の2程度まで回復するなど、諸外国を超えるスピードで回復している。また、訪日滞在消費額は円安の効果もあり、2019年対比で9割近くまで戻っている」と回復傾向にあることを話した。
中国市場については、「回復状況はマーケットごとに異なる。北中米やシンガポール、インドネシア、ベトナムといった一部は2019年を上回る一方、2019年には全体の3割を占めた中国は本土は戻っていない。今年の1~3月は、2019年度比で10.6%という状況だ。全体でみると、わずか4.5%である」と、中国は回復が最も遅れているマーケットであることを強調した。
中国の復活に向けては、「日本向けのツアーが解禁されていないこと。再開されればショッピングも旺盛になり、需要は間違いのないものになる」と、早期のツアー再開を求めた。今後は、中国との双方の関係を密にしながら持続瀬的成長に向けた取り組みを推進していく考えだ。
年会費減額を終了
総会では、2022年度事業報告・収支などを報告。2022年度の事業報告として、JNTOと連携した中国からの訪日旅行再開に向けた意見交換会や、洞爺湖観光協会との観光交流会など地方自治体への協力、会員サポートととしてKNT身元保証書発行システム勉強会を行ったことなどを報告した。
2023年度事業計画では中国訪日旅行市場の実地調査・情報収集を目的とした役員代表派遣団、中連協会員間相互交流を目的とした訪中団派遣事業、会員向けオンラインまたはリアルセミナーなどを行うことを発表し、承認された。コロナ禍で減額措置を取っていた年会費は、減額を2022年度をもって終了した。
このほか、2024年度身元保証書発行システム運用に関わる分短期の徴収ルールの見直しについてなどが話し合われた。
新・中連協幹事会名簿(敬称略)
会長(新任):石田恒夫、㈱JTB GMT 代表取締役社長執行役員
副会長:西田博之、㈱日本旅行 訪日旅行営業部マネージャー
幹事:濱野一哉 東武トップツアーズ㈱ ソーシャルイノベーション推進部営業担当部長
漢字:周文 ㈱平和ITC 代表取締役会長
監事(新任):宮井利之 ㈱JCプラン 常務取締役
監事(新任):寺田順一 ㈱農協観光 国際交流事業課課長
取材 TMS編集部 長木利通