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賛否両論あった能登町の「イカキング」、経済効果6億円と算出しプラスに変えたのは複業人材だった

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 石川県能登町で、今や町のシンボルとなっている巨大スルメイカ像「イカキング」。建設費2700万円のうち、2500万円を国のコロナ対策の地方創生臨時交付金で賄ったこともあり、完成当初は「税金のムダ遣い」などと賛否両論の声が上がりました。

 しかし、能登町は建設費を大きく上回る約6億円の経済効果があったと発表し、批判の声がプラスに変わっています。実はこの批判の声を覆す大逆転劇の裏には、能登町が採用した複業人材の活躍がありました。

賛否両論あったイカキングの設置

 コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、能登町も例にもれず観光客が激減しました。特に観光業や飲食業においては大きな打撃を受けました。能登町は全国有数のスルメイカ水揚げを誇る町として知られています。青森県の八戸港、北海道の函館港と並ぶ日本三大イカ釣り漁港として、能登小木港では毎年多くの新鮮なイカを出荷しているのです。

 そこでコロナ収束後の観光誘客を見据え、イカを地域資源としてとらえた新たな観光コンテンツを設置しました。それが、遊具機能を備えたインパクトのあるイカのモニュメント「イカキング」でした。

 しかし、イカキングを建設した際にかかった費用2700万円のうち、2500万円を国のコロナ対策の地方創生臨時交付金で賄ったことから「税金のムダ遣い」「医療に充てるべき」などと疑問視する声が後を絶ちませんでした。

複業人材の力で批判の声をプラスに

 批判の声が相次ぐ中、能登町ではイカキングの設置による経済効果や宣伝換算費などを算出することで、イカキングが地域にどのような効果が与えられたのかを検証することにしました。しかし、庁内では正確に数値を算出するための専門的なスキルや知見を持っている人がいませんでした。

 そこで能登町は、外部の専門的なスキルや知見を持つ「複業人材」に頼ることにしたのです。2022年1月から公募を開始し、約1か月の公募・選考期間を経て、国内総合コンサルティング会社に所属する白尾敏朗さんをアドバイザーに任命しました。

 そして約半年間のプロジェクト期間中で、石川県内でのイカキングの経済効果は約6億円、宣伝効果は約18億円だったことを発表しました。またイカキングの付近にある、のと観光交流センター「イカの駅つくモール」に2022年6~8月の間訪れた観光客を対象に、来場した理由を尋ねるアンケートを実施しました。アンケート結果によると、1125人中506人が訪れた理由に「イカキングを見たかったから」と回答したとのことです。イカキングは間違いなく、町のシンボルとなり、観光資源として能登町を盛り上げているといえるでしょう。

 今回の記事では、能登町のイカキングの経済効果を複業人材にお任せすることで、批判の声をプラスに変えたという実例をご紹介しました。実は近年、能登町以外の自治体でも庁内にはないノウハウや知見を求めて複業人材を募集することで、観光施策や庁内DX推進に取り組むケースが増えています。私が代表取締役を務める㈱Another worksが展開する複業マッチングプラットフォーム「複業クラウド」も、すでに80自治体以上に導入いただいいています。もはや複業人材の活用は、民間企業だけではなく自治体でもスタンダードになっているのです。

 前回の記事では、人手不足が深刻化する旅館業における複業人材活用事例についてまとめております。こちらも併せてご覧ください。
https://tms-media.jp/posts/1006

寄稿者 大林尚朝(おおばやし・なおとも) ㈱Another works代表取締役

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