古くから姨捨伝説で語り継がれてきたこの場所は、全国の鉄道の中でも絶景を誇っています。そのため、日本三大車窓と言われてきました。その三大車窓とは、根室本線・狩勝峠越え(現在は廃線)、肥薩線・矢岳越え、そして、ここ篠ノ井線・姨捨駅(おばすてえき)を指します。
そして、標高551mの山の中腹に位置し、全国でも数少ないスイッチバック式の駅です。長野からの列車は、引き込み線に一旦入り、バックしてホームに滑り込みます。
さて、ホームから見下ろす善光寺平は、国指定の名勝「田毎(たごと)の月」として有名です。その謂れは、水を張った棚田の一つ一つに満月がそれぞれの田んぼに移り込むからです。まさしく、古より人々を惹きつけてきた「田毎月」です。
千枚田とも呼ばれる多くの棚田が形成されるようになったのは江戸時代です。しかし、上杉謙信が麓の武水別神社に武田信玄打倒の願文を奉納。1564年には田毎に月を映す棚田の存在がすでに広く知られていました。なお、眼下の景観は、川中島の戦場でもあります。
今も昔も、鉄道車窓はマニアック
時を経て、2012年には日本夜景遺産に認定されました。そして、2015年にはJR東日本のナイトビュー姨捨号も続いて認定されています。
また、同社が誇る観光列車「四季島」の運行ルートにも選ばれました。その結果、何もない無人駅の駅舎に専用ラウンジが設えられました。車窓だけでなく、乗客は、ホームからダイヤモンドのような夜景を鑑賞することができます。
鉄道旅行の醍醐味は、車窓から見る雄大な景色と言えます。東海道新幹線でも富士山が見えた瞬間に数多くのシャッター音が聞こえます。時には、歓声や拍手が起こることもあります。
列車が息せき切って、坂を上った先に見えてくる絶景、晴れた昼も夜もとても煌びやかなものです。
何も見ることができない雪の日も素敵ですが・・・。
寄稿者 観光情報総合研究所 夢雨/代表
(これまでの寄稿は、こちらから)https://tms-media.jp/contributor/detail/?id=181