観光施設も規模の大小で、随分目的志向や利用客の捉え方が変わります。
「認知度なし=選ばれない」
東京ディズニーランド(TDL)やユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)、ハウステンボスといった代表的な大型施設がありますが、認知度においては大きな差があります。それは、即ち宣伝数が大きな差を生んでいます。お客様のニーズの差もありますが、根本は、認知度にあります。その人にとって、知らないということは、「無い」と同じなのです。
この考えに全てが代表されるように、知らないところには行こうとは思わないですし、選択肢にも入らず、結果行かないということになります。もし選ばれるとするならば、各施設が目的や役割などの中で検索された上で初めて、選択肢の一つとなるでしょう。
お客様目線を持ち、マーケットに効果的な宣伝を
各施設は、お客様目線を持つ必要があります。お客様目線で自身の施設を見る中で、お客様が何を目的に訪れるのか、地域を回遊している人ならば、自身の施設が何の役割を果たすのかを考えなければなりません。宣伝は、その考えが行き着く先にあり、自身の施設が求めている人が多く存在するマーケットに宣伝することで効果的が最大限発揮されます。
九州のある施設を例に挙げるならば、九州島内からのお客さまで十分であると考えを持っていれば、九州内だけを観光する人を意識しながら宣伝すれば目的が達成されるでしょう。
では、旅館やホテルではどうでしょうか。やはり全国から、いや、今の時代は全世界から来てほしいのが本音でしょう。であれば、全世界にPRしている九州の旅館・ホテルはどれくらいあるのでしょうか。私の知る限りでは、ほとんどしていない状態だと言えます。
旅行会社が情報発信・訴求の第一人者に
国内に留まらず、全世界への旅館・ホテルなど観光情報の発信。現在、その役目を一番負っている、負わなければならないのは旅行業ではないでしょうか。OTAといわれるネット旅行業もその一部です。
以前から現在まで、役目を負ってきたのは従来の旅行業者です。では、インバウンドを含めた新たな旅行者にしっかりと情報を訴求しているのでしょうか。これは、プロである旅行業の人たちが知識として吸収しながら情報発信・訴求すべきことです。
現在の一番の課題ではないでしょうか。
寄稿者 松瀬裕二(まつせ・ゆうじ)キューカン代表理事