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はじまりは、大阪から・・・ロケツーリズム

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 今回は、筆者が2011年より大阪観光局内「大阪フィルムカウンシル」 事務局長としての経験から、ロケ誘致の重要性とロケツーリズムおよびロケ誘致の経済効果について触れたいと思います。

 まず、現大阪フィルムカウンシル(旧称:大阪ロケ協)は、2000年に大阪府・大阪市・大阪商工会議所が、日本で初めて映画などのロケ誘致を目的として、ロケに必要なさまざまなことに便宜を図る目的で設立をいたしました。大阪フィルムカウンシルのHPは下記となります。

https://www.osaka-fc.jp

 ではなぜ、日本で初めて映画やドラマ・CMの撮影にワンストップで便宜を図る組織として大阪に誕生したかについては、過去の苦い経験からきています。1989年当時に関西で初の本格ハリウッド映画撮影が大阪を中心に予定されていました。

題名「ブラック・レイン」 【監督:リドリー・スコット、主演:カークダグラス、松田優作など】

https://otocoto.jp/news/blackrain0110/

過去の経験を生かしてこそ・・・

 ハリウッドスタッフが来日し、撮影前は行政も民間も盛り上がりました。しかし、実際の撮影となると道路封鎖や火気の使用などが必要となり、現実には許可などがおりません。そして、許可が出たとしても制限に次ぐ制限でハリウッド側の意向とあわず、一部での撮影を除き日本で撮影は見送りとなり、多くの撮影機会を逸してしまうことがありました。

 また、この時の撮影がうまくできないハードルが悪い評判となり、ハリウッド撮影側としても、今後日本での撮影は難しいとの評価につながりました。

 このような経験から撮影サイドと行政・民間の仲介役として、さらにワンストップ機能を持ったとりまとめ役として、日本初のフィルムコミッションが大阪府・大阪市・大阪商工会議所を中心に結成され訳です。その後、大阪商工会議所から2011年に現大阪観光局に移管され「大阪フィルムカウンシル」として現在も取り組んでいます。

フィルムメディア誘致をするメリットとロケツーリズム

 少し古い作品で恐縮ですが、例えば、有名な「サウンドオブミュージック」【監督:ロバート・ワイズ、主演:ジュリー・アンドリュース】は1965年に公開作され60年も経ちます。

https://www.youtube.com/watch?v=dVs71KOMnME

 筆者も小学生の時に初めて映画館で鑑賞して、きれいな歌声や雄大なアルプスの山々の風景を鮮やかに覚えています。機会があり映画の舞台となったザルツブルグを訪問して、サウンドオブミュージックのロケ地バスツアーに参加しました。

 ガイドさんは、ちょっとしたアルプスの衣装でいろんな撮影場面を訪れては解説をしてくれます。そして、バスの中では有名な「ドレミの歌」や「エーデルワイス」などの大合唱です。このバスには世界中の方が参加しており、一様に映画撮影スポットでは、映画の主人公の一場面を思い出し記念撮影をされていました。

 また、そのために主な撮影地であるザルツブルグを訪問しているといっても過言ではないでしょう。このように60年余り経ても、この映画はザルツブルグへ来るためのプロモーションを続けている訳です。

同じ場所で疑似体験

 また、別の有名な作品例をあげましょう。1953年公開「ローマの休日」【監督:ウィリアム・ワイラー、主演:グレゴリー・ペック、オードリー・ヘップバーン】です。

 この作品は実に72年以上も前の作品です。しかし、いまだにイタリア・ローマへ、この作品をみた世界中の方たちが訪問し、「トレビの泉」に行き「スペイン広場の階段」でジェラードを食べ、「真実の口」に手を入れた方はあまたいると思います。

https://www.youtube.com/watch?v=9WdfGcDeZl8

https://www.youtube.com/watch?v=Yfm-gq5wrfw

 このように映画には実際に撮影をされた場所を訪ね、映画の主人公と同化するという欲求と目的があり、ロケ地ツーリズムにつながります。

映画だけではなく、多岐に渡って・・・

 今回は、映画だけを取り上げてロケ地ツーリズムを取り上げました。しかし、もちろん映画だけではなく他のメディアにも同様の効果があります。このような人の心をひきつけるメディアは映画だけではなくドラマ・CM・アニメ・ゲームなど、現在はさまざまな分野でのメディアが訪れたい先としてのコンテンツになって、ロケツーリズムにつながっています。

 次回は、ロケ誘致による経済効果について主にご説明したいと思います。

これまでの寄稿は、こちらから(https://tms-media.jp/contributor/detail/?id=4866

寄稿者 梅阪雅雄 合同会社GO-ON 代表

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