海辺の夕景は、真っ赤に映える。海からの湿気が影響し、上空に雲をたずさえることが、真っ赤にする要因と言われる。
ここ江ノ島は、相模湾に突き出した島だった。今では、隣接する鎌倉の町と合わせて、湘南最大の観光ポイントだ。年間1,800万人の観光客が訪れる。特に夏場は、海水浴客を中心にピークとなっていた。
一方、島内に温浴施設や島先端の岩屋洞窟など、年間通じて体感できる施設も充実している。また、しらす料理をメインにする「食」へのこだわりも見せる。この多岐に渡る観光コンテンツが、閑散期のイルミネーションの創造にもつながっている。
灯台を観光コンテンツに変貌させ・・・
かつて、頂きにある江ノ島灯台は、特色のないものだった。しかし、現在の灯台は2002年の大晦日に、江ノ島電鉄の開業100周年事業の一環として初点灯された。その奇抜なフォルムは、まるでロウソクのようだ。そのため、「江の島シーキャンドル」と命名される。足下のサムエル・コッキング苑とともに光の芸術を造り上げている。
このイルミネーションによって、江ノ島観光は年間を通じて増加傾向に転じた。特に空気の澄んだ冬場は、西の空に沈む夕陽と富士山のシルエットが、幻想的な姿を見せる。一面真っ赤に染まる爆焼けは、まさしく、神業と言える景色となる。
繁忙期観光に固執せず、閑散期観光へのチャレンジの表れ。あぐらをかかずに、コツコツと積み重ねてきた努力の結果といえる好事例だ。
(2016.10.14.撮影)
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取材・撮影 中村 修(なかむら・おさむ) ㈱ツーリンクス 取締役事業本部長