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【レポート】初公開「第3立坑・地下トンネル」、首都圏外郭放水路“地下神殿”見学に新コース

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東武トップツアーズ春日部支店(安原裕之支店長)は4月16日、国土交通省江戸川河川事務所が管理する治水施設「首都圏外郭放水路」を使用した新コース・ツアー「地下河川を歩くアドベンチャー体験コース」を催行した。ツアーには一般参加者16人が参加し、現在公開している地下神殿「調圧水槽」のほか、初公開となる「第3立坑」(地下トンネル)を見学した。今回は、約4時間となるツアーの様子をレポートする。

春日部駅から車・タクシーで約7分に位置。一年中通して程よい涼しさを感じられる地下神殿

首都圏外郭放水路は、倉松川、大落古利根川など中小河川の洪水を地下に取り込み、埼玉県春日部市内を走る国道16号に沿いながら、地底50mを貫く総延長6.3km、内径は10.6mのトンネルを通じて江戸川に流す世界最大級の地下放水路。1993年3月に工事に着手し、13年の歳月をかけて2006年6月に通水が可能となった。トンネルをつなぐ立坑は、第1から第5まであり、深さは低いもので66m、高いもので71mある。

今回新たに開発されたコースは、新たなインフラツーリズムの開発として、未知なる体験を提供。従来から見学できる防災地下神殿や第1立坑に加え、新たに第3立坑(地下トンネル)を見学場所に追加し、防災の大切さ、技術者の想いや工夫を体験できるスペシャルコースとなっている。開催期間は11~翌5月で、定員が16人、料金が大人1人1万5000円。6~11月は梅雨や台風など降水量による水量増加から安全面に不安があり中断期間となっている。5月に催行するツアーは、発売から2時間で完売している。次回の発売は2カ月前から公式ホームページでの予約を検討している。

国土交通省は、「災害の自分事化」を通じて災害から国民の命を守ることを目指している。ツアーは同省と埼玉県春日部市の連携で実現。本格的な「防災ツーリズム」として、現在約6万2000人の有料見学会参加者を10万人まで拡大する計画だ。

初公開の第3立坑見学を含む、充実の約4時間スペシャルコース

ツアーの集合場所は、首都圏外郭放水路地底探検ミュージアム「龍Q館」。同館は、首都圏外郭放水路の機能や役割を中心に、江戸川に関する事業や自然環境について、展示・紹介などを行っている。参加者は、午後1時に同館の展示室に集合。ツアーを案内する災害の自分事化の伝道師である「防災コンシェルジュ」(東武トップツアーズの職員ら)が迎え、参加者はまず日本が世界に誇る防災システム首都圏外郭放水路の概要や仕組みについて、パネルや映像を使いながら説明を受けた。

防災コンシェルジュがツアーを案内

展示室での説明後は、同館の地下にあるポンプ室へ移動。首都圏外郭放水路の排水機場は国内最大規模であり、その中心となる設備が「立軸渦巻き斜流ポンプ」と「2軸式ガスタービン」だ。大型の渦巻きポンプとガスタービンがそれぞれ4台設置されており、巨大なガスタービン(三菱重工業製)を肉眼で観賞できる。

大型の渦巻きポンプやガスタービンの内部を見学

ポンプ室の見学後は、参加者はバスで第3立坑に移動し、腰まである長靴に履き替えるほか、ヘッドライト付きで国土交通省のロゴが入るヘルメットを装着した。第3立坑では、深さ71m、内径31.6mの巨大な竪穴を上から覗き込んだ。作業用の通路(キャットウォーク)の穴からは遠い底が見えて思わず身体が震えるなど、非日常を大いに感じた。続いて、エレベーターで地下8階まで降りた。

キャットウォークで立坑上部を移動。足元からも約70mの底が見える

最深部では、水が足首まで貯まる(多いときは膝上まで)第3立坑底盤部・トンネル内を散策。天井からは水滴が滴り、大きなトンネルの先には暗闇が広がっていた。参加者からは、「非日常のスケール感に圧倒された。この第3立坑だけで十分価値がある」と声が上がった。

地下8階まで降りて第3立坑底盤部・トンネルへ

第3立坑を後にすると、再び龍Q館にバスで戻り、徒歩で第1立坑へ移動して内部を見学した。第1立坑は、第3立坑同様に深さが71mで内径が31.6mの巨大な竪穴。参加者は、キャットウォークを1周しながら、竪穴の迫力を存分に味わった。

第1立坑ではキャットウォークを1周

続いて、調圧水槽(地下神殿)を見学。調圧水槽は、首都圏外郭放水路の象徴的な施設であり、地下トンネルから流れてきた水の勢いを弱め、スムーズに流すための巨大プールで、柱と空間の巨大さから地下神殿とも言われるようになった。地下約22mの位置に作られた長さ177m、幅78m、高さ18mの巨大水槽には、長さ7m、幅2m、高さ18mの石柱が59本立っている。参加者は、「写真や動画より神殿さが伝わった」「アニメの世界にいるよう」と言いながら、各々がポーズを取りながら写真や動画を撮影していた。

巨大な59本の石柱が立つ地下神殿

今回のツアーでは、地下神殿の見学にとどまらず、普段は入れない地下神殿の最奥部に向かって移動。1秒間に25m、プール1杯分の水を排水する直径3.8mの江戸川に排水するための羽根車「インペラ」を足の根元まで水に浸かりながら見学した。

地下神殿の最奥部で水に浸かりながら羽根車「インペラ」を見学

ツアーは午後5時に終了。参加者には、同ツアー参加者限定となる「龍Q館防災博士」の認定書が授与された。

ツアーを企画・運営した安原支店長は、「新たに『観光の視点』で子どもから大人まで楽しく防災の知識を身に付けられるよう首都圏外郭放水路を情報発信基地としていく」と述べるとともに、ツアーを一般客のほか、学校や企業・団体からの参加も受け付けていく方針を語った。

首都圏外郭放水路を見学するコースは、地下河川を歩くアドベンチャー体験コースのほか、人気の「地下神殿コース」(大人1人1000円)、迫力満点の「立坑体験コース」(同3000円)、深部を探る「ポンプ堪能コース」(同2500円)、見どころ満載の「インペラ探検コース」(同4000円)が用意されている。

なお、大人気の「地下神殿コース」(約55分)1人1000円など、さまざまなコースが用意されている。詳しくは首都圏外郭放水路のホームページ(https://gaikaku.jp/)まで。

※メインビジュアルは、第3立坑底盤部・トンネル

取材 ツーリズムメディアサービス編集部

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