UN Tourism(国連世界観光機関、スペイン・マドリード)は4月28、29日の2日間、大阪・関西万博で、観光分野におけるイノベーションと教育、そして女性のエンパワーメントの重要性を訴える公式フォーラムを開いた。半年の期間中、150を超える国から約2800万人の来場が見込まれる万博で、観光分野の未来像に関する国際的な議論を交わした。
UN観光のイノベーション・教育・投資担当ディレクター、アントニオ・ロペス・デ・アビラ氏は、「観光は単なる産業ではなく、持続可能な開発、社会的包摂、技術革新の触媒である。とりわけ世界各地の女性の創造性やリーダーシップを支えることが不可欠だ」と語った。
4月28日に開かれた「女性起業家をたたえるフォーラム」では、女性主導の観光テクノロジー分野におけるイノベーションや、業界での多様性促進に向けた取り組みが議論された。特に、観光テック分野における女性主導の革新や、多様な人材を育てるために経験豊富な先輩起業家らが助言や支援を行う「メンターネットワーク(支援者の連携)」の重要性に焦点が当てられた。
パネルディスカッションでは、大手旅行会社やデジタル観光プラットフォーム、国際的なホテル企業で活躍する女性幹部が登壇し、イノベーション、包摂、戦略的リーダーシップによる観光業の変革と、市場アクセスの拡大、ダイバーシティの推進について意見を交わした。
また、日本のByFood、韓国のNomadHer、アラブ首長国連邦のXenios Academy、中国(香港特別行政区)のShake to Win、米国のGreetherといった女性起業家らが、自社の先進的なビジネスモデルを紹介。観光とテクノロジー、持続可能な成長、社会的インパクトを結びつける取り組みをアピールした。
翌29日には「グローバル観光投資フォーラム」を開いた。アジア太平洋地域では2019~2024年の間に、観光分野への海外直接投資(FDI)プロジェクトが442件立ち上がり、総額375.5億ドル(約5.8兆円)の資本が投じられた。これにより77,000人以上の雇用が創出され、このうち日本は33件・25.7億ドルの投資を集めた。
フォーラムでは、地域主導の観光開発を進めるKiraku(日本)やバヌアツの取り組みが紹介されたほか、JTB、関西エアポート、Plug and Play Japan、ハイアット、Destination Capital、Dossenなどの民間企業が参加し、持続可能で包括的な観光成長を支える投資の方向性について議論が展開された。