KNT-CTホールディングスは5月13日、2025年3月期（2024年4月1日～2025年3月31日）の決算を発表した。売上高は前年比7.5%増の2745億1600万円、営業利益は同16.9%減の60億4千万円、経常利益は同15.1%減の67億7600万円、当期純利益は同1.9%増の76億8千万円だった。次年度の連結業績予想は、売上高が8.6％増の2980億円、営業利益が同7.6％増の65億円、経常利益が同7.7％増の73億円、当期純利益が同11.5%減の68億円の増収減益となった。今後は従来の国内・海外旅行を中心とした事業ポートフォリオに加え、「地域共創事業」「訪日旅行事業」を成長領域として定め、取り組みを一層強化する。

国内個人旅行は、北陸新幹線延伸や恐竜人気に沸く福井県や年末の伊勢志摩方面が人気のエリアに。クラブツーリズムの添乗員同行ツアーでは、日並びの良い年末年始の休暇を利用した商品の販売に注力したほか、にっぽん丸や飛鳥Ⅱといった大型客船のチャータークルーズを催行し、好評を得た。団体旅行では、近畿日本ツーリストが企業系コンベンションなどの法人需要をはじめ、修学旅行等の学生団体の需要獲得にも努めた。

海外旅行は、クラブツーリズムの添乗員同行ツアーで、主にヨーロッパ方面や外国船クルーズ、アメリカへの野球観戦ツアーが好評。団体旅行では、近畿日本ツーリストがパリオリンピック・パラリンピックの観戦、企業の視察招待や海外見本市のほか、メキシコ皆既日食観測ツアーなど、趣味に特化した旅行の取扱いにも注力した。

訪日旅行は、クラブツーリズムで昨年９月に多言語対応の訪日客向けグローバルサイト「YOKOSO JAPAN TOUR」を公開し、海外個人顧客のツアー申込から決済までをワンストップで処理できるようになったことで、特に香港・台湾からの客を中心に、紅葉観賞の日帰りバスツアーなどが好評だった。近畿日本ツーリストでは、陸上競技の大型国際大会や東京マラソン2025にメインパートナーとして積極的に関与し、その取り扱いが好調に推移した。

このほか、クラブツーリズムにおいて、テレビ東京ダイレクトとの協業により、本年１月から今行くべき旅や楽しみ方を案内する新番組「教えて！ツアーの達人」の放送を開始し、旅の魅力の配信や関連するツアーの販売に努めた。

連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物は、前期に比較して31億25百万円増加し880億7300万円となった。

自己資本比率は前年比4.1ポイント増の37.5%、時価ベースの自己資本比率は同4.6ポイント減の23.3%となった。

「地域共創事業」「訪日旅行事業」を軸に海外事業拠点の設置も

今後は、これまでも注力してきたコンプライアンス改革諸施策を通じた内部統制システムの一層の強化と、グループ全体の企業風土改革およびコンプライアンス意識のかんように取り組んでいく。また、従来の国内・海外旅行を中心とした事業ポートフォリオに加え、新たに「地域共創事業」「訪日旅行事業」を成長領域として定め、取り組みを一層強化、加速する。地域共創事業では、中部山岳国立公園エリアにおいて、テーマ性の高い旅行商品に長けているクラブツーリズムと、観光施設運営・交通対策事業など幅広い観光ソリューションを擁する近畿日本ツーリストが一体となり、上高地を中心に、地域に根を張ったDMCとして、包括的な観光サービスの提供を目指して取り組んでいく。

訪日旅行事業では、豊富な商品群を強みとして、訪日外国人向けオンライン宿泊販売に一層注力するほか、クラブツーリズムの多言語対応グローバルサイト「YOKOSO JAPAN TOUR」においても、テーマのある旅や秘境・絶景の旅などを商品展開する。また、海外から日本への送客を強化するため、ヨーロッパ等での海外事業拠点の設置を予定し、グローバルネットワークの再構築を進めている。

資本準備金を2500万円に減少

このほか、同日には資本準備金の額の減少および剰余金の処分について発表。資本準備金の額79億5710万513 円のうち79億3210万513円を減少し、減少後の資本準備金の額を2500万円とした。資本準備金の額を減少した額の全額をその他資本剰余金に振り替える。資本準備金の額の減少による振替後のその他資本剰余金574億3409万7665 円のうち171億5357万1371円を繰越利益剰余金に振り替えることで、同額分の欠損填補に充当する。6月17日開催予定の定時株主総会で決議する。