JR北海道釧路支社と環境省釧路自然環境事務所は、釧路と根室を結ぶ「花咲線」で頻発するエゾシカなどとの列車衝突事故を防ぐため、連携して対策に取り組んでいる。
花咲線はJR根室本線(滝川-根室)の一部で、釧路駅から根室駅まで135.4km区間の愛称。車窓からは森林や牧場、太平洋などが広がり、沿線にはラムサール条約登録湿地が点在する。

JR釧路支社によると、花咲線では列車とエゾシカとの接触事故が年間約400件発生している。特に秋から冬にかけて件数が増加する。このため2022年からは夕方・夜間を中心に列車の減速運転を実施し、一定の効果は出ている。
線路への侵入を防ぐためのエゾシカ防止柵を別当賀駅~落石駅間を中心に4,800メートル以上設置済みで、今年度も約300メートル増設する。死んだ野生動物を狙った希少猛禽類(オジロワシ、オオワシ)との衝突事故も深刻で、防止策として環境省と共同で、死骸を回収するまで簡易的にシートで隠す「エゾシカ覆隠シート」の開発も進められている。
釧路駅などでは衝突防止策を紹介するポスターの掲出や、JR社員向けの野生動物勉強会も行っている。
根室市では花咲線の魅力は伝える専用サイト「地球探索鉄道 花咲線」を開設している。夏の車窓風景を4分半にまとめた動画に、この夏の旅情をそそられた。