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雇調金不正受給は1699社・総額551億円に、旅行・宿泊業など観光関連も多数

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東京商工リサーチは5月28日、全国の労働局が4月30日までに公表した「雇用調整助成金」(雇調金)等の不正受給件数を基に、業種別・地域別の傾向をまとめた。

2020年4月から不正が発覚し公表された企業は累計1,699件にのぼり、不正受給総額は551億6,918万円にのぼる。旅行業や宿泊業、美容業など生活関連サービス業を含む観光関連事業者も多数に上る。

旅行業界では、HISグループが64億円余りの不正受給を自主返還しており、信頼回復に向けて役員報酬の減額や決算訂正などの対応に追われた。

また、最近、発覚したのが結婚式場運営のアルカディア(福岡県)による約10億円の不正受給。同社は元社長らが詐欺容疑で逮捕された後に破産し、予定されていた挙式が相次いで中止となるなど、観光や地域経済への影響も大きかった。

不正発覚が公表された1,699件のうち、倒産した企業は100件(5.88%)で、これは2024年の全国倒産率0.19%と比較して約31倍に相当する。受給金の返還義務や信用の失墜が経営を直撃し、今後も同様のケースが発生する可能性が高い。

都道府県別では、愛知県が最多の273件。東京207件、大阪173件、神奈川136件など大都市圏に集中している。

業種別では、サービス業他が最多の595件(構成比45.8%)を占め、飲食業183件、人材派遣業128件、旅行業や美容業などの生活関連サービス業が102件と続く。宿泊業も36件が公表されており、観光産業全体の信用にも影を落としている。

雇調金は、コロナ禍における雇用維持を目的として手続きの簡素化を図った特例措置によって支給されたが、その運用の隙を突いた不正も多数確認された。厚生労働省によると、不正受給の総件数は非公表分を含めて4,100件、取り消し総額は約978億6,000万円にのぼる。

雇調金等は雇用保険料を財源とする制度であり、社会保障制度の信頼を維持するためにも、不正を許さない摘発の姿勢が求められており、当局は今後も厳しい追及を続ける構えだ。

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