世界旅行ツーリズム協議会(WTTC)は6月16日、各地で相次ぐ「反観光デモ」に対し、声明を発表した。観光産業が地域経済に与える恩恵を強調したうえで、「住宅不足などの社会問題を観光業の責任とするのは適切ではない」との見解を示した。
声明では、観光は大手旅行会社のみならず、関連する地域の中小企業にも利益をもたらし、国内外の旅行者によって雇用と収益を生み出していると指摘。住宅不足のような課題については、「その背景には複雑で根深い構造的要因があり、観光産業の影響に還元するのは不正確だ」と述べている。
さらに、観光を通じて生じる税収は相当な規模にのぼるとして、各国政府がこうした財源を活用し、インフラ整備など地域のニーズに応えるべきだと訴えた。
WTTCは今後も「人々の利益となる責任ある観光の実現を支援する」と表明し、各国政府との連携を継続する姿勢を示している。
WTTCは、世界の主要な観光関連企業で構成される国際的な非営利団体で、観光業の経済的貢献を可視化し、持続可能な成長を促進することを目的としている。各国政府や国際機関と連携し、政策提言や調査レポートの発表、業界の発展を支える活動を行っている。