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ある時、「非公開」が「公開」に変わると~東山高台寺・京都市~ニッポンを歩こう093

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京都の街中には、数多くの「拝観謝絶・非公開」の神社仏閣が存在する。ここ高台寺もその一つであった。しかし、1989年春に一般公開が始まると東山散策の人気の観光スポットとなった。

高台寺は、豊臣秀吉の正室、北政所ねねが隠遁したお寺である。かつては、閉門して中に入ることを拒絶していた。しかし、今では、目の前の通りは「ねねの道」と名付けられている。また、ここから東大路へ抜ける小道も「石塀小路」と呼ばれるようになった。

地域全体での取り組みが、良き方向性を産む

歴史を学ぶ者や歴史好きの人々は、「拝観謝絶」「非公開」神社仏閣の公開を待ち望んでいる。期間限定であっても好ましいことだ。しかし、一般公開することは、両刃の剣でもある。周辺の食事場所や土産店は、売上が上がり、経済効果も非常に高い。一方、お客さまが増えることによるごみ放置など、さまざまな観光公害を発生させる端緒にもなる。

昨今、京都市は固定資産税等の収入が乏しく、一般企業で言う赤字状態である。これは、神社仏閣が非課税であることが最大要因と言われている。1982年に古都保存協力税という税金を有名神社仏閣から徴収するという構想が打ち出された。反対運動が起き、対象となる神社仏閣の多くはその門を閉じた。行政と神社仏閣の良好な関係性が崩壊すると、日本のリーダーたる京都観光が瓦解していく。大切なモノ・コトを将来につなぐこと、拙速に結論を出すのではなく、しっかりと議論し、京都観光が良き方向に進むことを望みたい。

(2006.08.18.撮影)

(これまでの特集記事は、こちらから) https://tms-media.jp/contributor/detail/?id=8

取材・撮影 中村 修(なかむら・おさむ) ㈱ツーリンクス 取締役事業本部長

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