どの土地にも特定の商品や産物を売る市場や商店街がある。東京では海産物の豊洲市場、調理道具の浅草合羽橋や小さな電機部品から家電やパソコンなど扱う電器店が集まっている秋葉原などが有名だ。、こうした街を歩くのは、買い物をせずとも楽しい。
ここ数回の韓国の旅では、活気あふれる各地の市場を巡った。今回は韓国らしい光景に出合えるソウルのその韓方薬剤市場を訪れた。
日本と同様に漢方とも言うが、中国から伝わった漢方が韓国で独自に発展して広まり、韓方(ハンバン)となった。西洋医学はデータとエビデンスを重視するのに対し、韓方は脈診や問診によって、人の体質を「太陽人」、「少陽人」、「太陰人」、「少陰人」の4種類に分けて診察する「四象診断」により、体全体のバランスを整え、人間本来の自然治癒力を活かそうという手法を取り入れているという。

店先から発する得も言われぬ匂い
最寄り駅の地下鉄1号線祭基洞(チェギドン)駅から数分歩くと、香辛料のような独特の匂いが漂ってくる。それもそのはずで、市場の路地の両側の店先には豆粒状、粉末、動物の骨、ただの小枝にしか見えない材料などが売られており、それらが発する香りだ。客が、自分の症状や不調箇所を伝える、それに合った処方を調合してくれるそうだ。

ここにはソウル韓方振興センターにソウル薬令市韓医薬博物館が併設されている。博物館では、韓医薬の歴史や効能などが展示されている。その一角には、朝鮮時代に身分や貧富に関係なく、治療を施してきた医療機関普済院(ポジェウォン)」を再現したジオラマで、当時の様子が分かる。足湯体験や韓方マッサージも受けられる。

韓国好き日本人女性たちの人気スポットに
近年訪れる人の半数が日本人だという。この日も日本人女性たちが足湯に浸かり、寛いでいた。また、夏休みの時期に当たったのか、宿題のために訪れていた小学生たちが熱心に見学していた。ここのカフェでは、韓方ランチや伝統茶を味わえる。かき氷にも木の実やハーブなどが混じっていた。

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