埼玉県南部は、植木や盆栽の町と呼ばれている。特に、大宮は盆栽で有名だ。かつて、陸の孤島と呼ばれた場所に、東京メトロ南北線が走っている。埼玉県に入ると埼玉高速鉄道となまえを変える。その都県境にも近い川口安行付近は、植栽用の農園が数多く存在する。そして、その農園がいつの間にか、観光施設に変わった。
さて、この付近に埼玉県「花と緑の振興センター」という施設がある。その名称からわかるように、地域全体が大規模な農園が存在する。その中でも、ここ小林もみじ園は「もみじ」に特化し育て上げた農園だ。個人で運営している農園であることもびっくりする。
誰もが観光特派員となった昨今、SNSの威力はより強い発信力によって、「ベストタイミング」を知らしてくれる。春の花々や紅葉などの近隣観光はまさしく「今」が大切だ。「今日は天気が良いから、あそこに行ってみよう」「あの団子の時期になったね」等々。そう思ったが吉日、本来の身近な観光コンテンツを育てている。
また、この地域は、元来有名観光地が少ない。しかし、インフラを整備すれば、善き良き観光地に成長する。最近では、近くの密蔵院の安行桜も有名となっている。いずれもSNSの影響が大きい。
小林もみじ園は、植栽し販売する農園である。そのため、来訪客のために敷地内に駐車場もトイレも完備されている。人が集まり消費行動を起こすことこそ、観光の原点であると学ぶ好事例である。
(2021.11.23.撮影)
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取材・撮影 中村 修(なかむら・おさむ) ㈱ツーリンクス 取締役事業本部長