この句は、夏の夜に満月を見上げていたとき、ふと頭に浮かんだ太古の風景から生まれました。今、自分が見ているこの月を、何万年も前のナウマン象たちも見上げていたのではないか。そう思うと、静かな夜空が一気に悠久の時間へ繋がっていくような不思議な感動がありました。夏の月が冴え冴えと照り、そこに大地を踏みしめて移動する巨大な象たちの影を重ねたとき、想像の世界が広がりました。詩的な直感ですが、過去と現在を一瞬でつなぐ月の存在に導かれたそんな句です。
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