アジア太平洋地域12か国・地域の労働者1万2000人超を対象にした最新調査で、日本の労働者がキャリア志向、柔軟性、ESG意識など主要指標で地域最下位に位置づけられたことが明らかになった。調査はシンガポール拠点の人材紹介会社Reeracoenと日本の楽天グループ傘下の調査会社Rakuten Insightが実施した。
調査結果によれば、日本の労働者で「リーダーシップを目指す意欲が強い」と答えたのはわずか24%(地域平均37%)、雇用主選びにおいてESGやCSRを重視するとしたのは48%(同地域最低水準)。ハイブリッドワーク導入率も33%にとどまり、柔軟な働き方が広がるアジアの潮流に後れを取っている。
高まるスキルアップへの意欲 自主的に資格取得など
一方で、変化の兆しも見られた。スキルアップへの意欲は高まりを見せており、33%が自主的に認定資格やオンライン学習を活用していると回答。柔軟性を重視する回答も65%に達しており、就業環境の見直しが求められていることをうかがわせた。
ReeracoenグループCEOの内藤兼二氏は、「伝統と変化のバランスを取ることが、日本の職場の未来を左右する」と指摘。株式会社リーラコーエンジャパンの副島康介マネージング・ディレクターも、「目的や信頼、人間中心の柔軟な働き方を重視する企業こそが、グローバル志向の若手人材を惹きつける」と強調した。
他の注目点は以下の通り:
海外移住への抵抗感:海外就労に意欲がある日本人は9%にとどまり、地域で最も消極的だった。
給与期待の低さ:10%以上の昇給を予想する労働者は13%(地域平均21%)と控えめだった。
人口減少下での人材争奪戦:熟練人材を巡る競争が世界的に激化する中、日本企業は変革を迫られている。
調査をまとめたホワイトペーパーは、アジア全体および各国市場の傾向を比較できる内容となっており、人材戦略立案に活用できるという。
なお、Reeracoenはアジア6か国に展開する人材紹介会社で、2025年の「ベスト採用・人材獲得エージェンシー」など複数の受賞歴を持つ。楽天インサイトは楽天グループ傘下の調査会社で、アジア・米国など60カ国以上を対象とした広域パネルを運営している。
https://www.prnewswire.com/jp/news-releases/esgapacreeracoen-O-rakuten-insight-