JR東日本は9月9日、モビリティ事業として初めての中長期成長戦略「PRIDE&INTEGRITY」を策定したと発表した。2045年の未来の交通像を見据え、今後10年間の成長方針を示す内容となっている。
同社は今年7月に策定した経営ビジョン「勇翔2034」で、安全を最優先に据えつつ、モビリティと生活ソリューションの二軸経営でシナジーを発揮することを目指すとした。今回の戦略では、社員一人ひとりが「誇り」と「誠実さ」を原動力とし、「当たり前」を超えた飛躍的成長を実現する姿勢を示している。
成長戦略は4つの柱で構成される。第一に「安全レベルの向上」では、デジタルツインやAIを活用したリスク管理や踏切保安システムの高度化により、鉄道運転事故を2031年度までに30%減少、ホームでの人身事故を80%削減する目標を掲げた。
第二の「収益力向上・社会課題解決」では、新幹線車両の増備や夜行特急の導入、観光誘致の強化などで交流人口を拡大させるとともに、少子高齢化や地域交通の課題に取り組む。
第三に「技術革新・構造改革」では、完全チケットレスやウォークスルー改札、衛星を活用した列車制御、水素や次世代エネルギーを取り入れた車両開発などを進める。
第四の「社員の働き方改革」では、AIやロボットと協働し、社員が高度な判断や新たな価値創造に注力できる環境を整える。
これらの取り組みにより、2031年度にモビリティ事業の営業収益2兆円超を達成することを目標としている。2024年度比で2,000億円以上の増収を見込み、将来の持続的な成長を目論む。