観光庁の村田茂樹長官は9月17日に開いた定例会見で、新たな観光立国推進基本計画策定に向けて、インバウンドのさらなる受け入れには「国民の理解を得ることが重要」とし、そのためには「インバウンドの受け入れと、国民生活の両立の施策の徹底などにより、観光の持続可能性を高める必要性がある」と語った。
新たな観光立国推進基本計画は、2025年度末までの策定を目指している。同日午前中に開かれた第52回交通政策審議会の観光分科会では、「30年の政府目標に向け、観光や交通など各分野におけるボトルネックを解消するために必要な対応策を広く整理し、委員から有意義な議論をいただいた」と報告。
基本的な考え方として、「インバウンドの受け入れを我が国の経済成長や、地域活性化につなげていくことの意義に加え、地方誘客のより一層の促進により、観光の持続可能性を高める必要性があること」など提示。「今後もしっかりと議論を深めていきたい」と述べた。
「ツーリズムEXPOジャパン2025愛知・中部北陸」の開催が9月25~28日まで4日間、愛知県で初めて開催される。村田長官は「国内外から多くの方々が来場し、インバウンド、アウトバウンド双方向の交流拡大や、地方誘客につながる機会になることを期待している」と語った。
日本旅館協会が9月4日に石川県金沢市で開催した「宿泊業界における観光と金融に関する全国懇談会in金沢」に出席し、和倉温泉や輪島市も視察したことも報告。
「復興に向けては、まだまだ道半ばという厳しい状況を伺った。しっかりと支援を継続していかなければならないという思いを改めて強くした」とし、能登半島の「復興応援割」については、「被災地の復興状況の進捗と、地元の意見をしっかりと聞きながら(スタート時期を)検討していきたい」と述べた。
8月の訪日外客数で好調な中国は25年1~8月の累計で約46%増の671万人と、すべての市場で最多となっている。この状況について村田長官は、航空便の座席数の増加や円安などを要因として挙げ、「中国市場は20~40代の若年層や家族層の旅行需要が高く、自己手配旅行が多い」と分析。引き続き、若年層や富裕層などのリピーター化に向けた戦略的なプロモーションを続けていく方針だ。
消費税免税店数の動きについては、25年3月末時点の免税店数は6万1392店、地方部での免税店数は2万3136店。「いずれもこの10年間で3倍以上に成長しており、地域経済の活性化に大いに寄与するものと理解している」と話した。観光庁のインバウンド消費動向調査では、24年の訪日外国人による買い物消費は約2・4兆円で、「消費税の免税制度はこの買い物消費を下支えする重要な制度」との認識を示した。