あけぼの山農業公園は、立地する柏市制40周年を記念して建築、1995年に開場された。ここは、庭園やさくら山が中心のあけぼの山公園と野菜や果実の収穫体験を楽しむ農業公園が一体となっている。
春は、あけぼの山一帯に桜が咲き誇る。そして、数多くの露店が出店するさくらまつりの時期には、近隣からも遠隔地からも来訪者が増える。一方、広さ18haの農業公園には、異国情緒豊かな風車広場がある。春のチューリップ、夏のヒマワリ、秋のコスモスと時季に応じた花が植栽される。色とりどりの花々と風車のコレボレーションは見事だ。特に15万本が植えられるチューリップは圧巻である。そのため、家族連れがお弁当を広げる姿や訪日外国人がカメラを向ける姿も見受けられる。
また、隣接する紅竜山東海寺は、布施弁天とも呼ばれる。不忍池辯天堂、江島神社とともに関東三弁天の一つに数えられる名刹である。平安時代初期に創建と言われ、平将門が弁天様の松の木に隠れたという由緒も伝えられる。松光院とも称される。そして、江戸時代には、利根川の水運によって発達した寺院だ。しかし、明治時代以降、常磐線の路線から外れたことによって、衰退してしまった。
日本人の観光の在り方を考える
ビビットなチューリップと風車のある景色は、どこかの海外の風景かと見間違えてしまう。しかし、ここは、都内から電車とバスに乗って約1時間の場所である。どこから仕入れた情報なのか、最寄駅の路線バスは、日本人よりも外国人の方がたくさん乗っている。
短い時間で日本国内をめぐる訪日外国人の貪欲さは、日本人の観光の在り方や情報収集の仕方、ひいては、日本の観光振興の将来など、考えねばならないことばかりと感じる。
(2023.04.04.撮影)
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取材・撮影 中村 修(なかむら・おさむ) ㈱ツーリンクス 取締役事業本部長