かつて、鉄道のガード下にも住宅が設けられていた。しかし、いつの頃からか、すべて無くなってしまった。合法ではなかったのであろうが、ある意味、一等地である。電車が通るたびにガタゴトと揺れと騒音を除けば、住みやすかったのかもしれない。
昨今、JR東日本は、ガード下を商業施設として活用し始めた。秋葉原から御徒町や新橋から有楽町、中央線沿線など、素敵な店舗が立ち並ぶようになった。しかし、ここ神田駅のガード下は、昔ながらの居酒屋などが集まるパラダイスだ。会社帰りに、立ち飲みでサクッと、二次会でサクッと、ファストフードのように短時間でお客さまは入れ替わる。また、よく見るとこの建物は、平屋ではなく二階建てだ。このスペースをうまく使っている。
さて、写真中央の焼き鳥屋さんは、道路を挟んだ向かい側にもメニューが親子丼だけの店も構えていた。また、一本隣りの通りには、コンビニやカラオケ店も展開している。入居する業態も多岐に渡り、訪れる人々が飽きることはない。
このように、駅近のガード下は、最優良物件だ。今では、私鉄各社も、その活用に知恵を絞り、独自の展開を図っている。鉄道収入だけでは、経営が難しくなった時代故、ガード下はドル箱なのかもしれない。
終電を気にしながら、「お先に」などと言って、ホームまで走った記憶は、会社員時代の良き思い出である。
(2023.04.14.撮影)
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取材・撮影 中村 修(なかむら・おさむ) ㈱ツーリンクス 取締役事業本部長