東京からの新幹線が京都駅を出発すると、車窓にさまざまな機関車が置かれている場所が過ぎていく。山陰本線が北側に分かれ、三角州のような梅小路運転区である。かつては、ここに機関区があり、扇形車庫には蒸気機関車も収まっていた。
時を経て2016年、ここに京都鉄道博物館がリニューアルオープンする。開業当時は日本一の大きさだった。そして、1995年、JR貨物梅小路駅跡地に、平安遷都1200年記念事業の一環で梅小路公園が開園する。また、2012年には、人工海水を活用した内陸型水族館として、京都水族館も開館した。
この梅小路地区は、京都駅から直線距離2kmほどに位置する。京都駅近くの中心部であるが、観光施設は乏しかった。しかし、鉄道博物館や水族館の開園によって、一気に注目の的となった。大通りを遠回りすると、歩くにはしんどい距離だが、裏道を通れば、ほどない距離である。一方、JR西日本は2019年3月、山陰線の新駅「梅小路京都西駅」を開業し、観光客の利便性を高めている。
利便性の裏側にある課題解決は急務だ
鉄道空白地域に新駅が開業すると、観光客だけでなく地域住民の利便性も生む。このような柔軟な駅の設置は、国鉄が民営化され、JRとして生まれ変わった産物でもある。一方、この山陰線は、京都駅から嵐山地区へ最短で移動できる交通機関でもある。梅小路や太秦、嵐山と回遊性を高めることも視野に入っているのだろう。
しかし、効率を重視した路線は、昼間の時間帯に車内が飽和の状態となる。訪日外国人が集中する京都市内の輸送手段として、運行形態を変えることは、喫緊の課題である。車両編成の拡大や駅における臨時改札の設置など、まだまだ改善できることは少なくない。
京都観光は、日本国内をリードするトップアスリートだ。そのため、京都市内の取り組みが、他地域に影響を及ぼす事例となる。行政や公共交通機関、民間観光施設がより連携して、もっと素晴らしい仕組みづくりを提示してほしい。
(2023.07.24.撮影)
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取材・撮影 中村 修(なかむら・おさむ) ㈱ツーリンクス 取締役事業本部長
 
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