第128回地域力おっはークラブが9月17日(水)、東京・新橋の阪急交通社で開催された。今回は、岩手県宮古観光文化交流協会事務局長の赤沼喜典氏が登壇した。
赤沼氏は宮古市田老出身。三陸鉄道に在籍した約40年間に、「三陸鉄道を一つの観光地」とするアイデア仕掛け人として全国的に話題を集め、集客にも貢献した。東日本大震災後の観光による復興にも、現在は宮古観光文化交流協会事務局長の立場から尽力している。
講演のテーマは、「震災からの復興と観光~日々アイデアを考え、誘客につなげよう~」。
赤沼氏が在籍していた三陸鉄道は2000年に「観光路線へシフト」し、赤沼氏は「なもみガイド」や「こたつ列車」、「うみねこの餌付け」など、全国的に話題となったヒット企画を連発していった。物販では「赤字せんべい」を販売し黒字化を目指した。その裏には、「数えきれないほど失敗もしてきた」と振り返る。
自身の経験から、「100考え、1つ当たれば良いレベル。アイデアの原石は足元に転がっている」と語る。
東日本大震災の津波で沿線が甚大な被害を受けるなか、わずか5日後に三陸鉄道は走り始めた。大きな汽笛を何度も、何度も鳴らしながら走る車両を見た住民たちが、津波で流された自宅の前で立ち上がり、大きく手を振る姿を目の当たりにした赤沼氏は、涙が止まらなかったという。
赤沼氏は「鉄道は地域にとっては特別の存在」と力を込める。「さまざまな困難に直面しながら、決して諦めず、常に挑戦してきた三陸鉄道がこれから先もずっと走り続けることが大事」と語り、「宮古市の観光交流に力を注ぎながら、地域の復興に取り組んでいく」と結んだ。
情報提供 旅行新聞新社(https://www.ryoko-net.co.jp/?p=155445)