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【開催報告】大阪・関西万博で東京山側DMCが登壇、ネイチャーポジティブと地域創生の未来を語る

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株式会社東京山側DMCで探究型自然体験学習スクール校長を務める櫻澤裕樹氏は2025年9月23日、大阪・関西万博の環境省ブースで開催されたセミナーに登壇した。「六方よし」という独自のビジネス哲学を掲げ、自然資本を活かした持続可能な地域創生のモデルを全国に展開する必要性を訴えた。

この講演は、同社が国立公園の魅力を世界に発信する「オフィシャルパートナー」の一員として行ったものである。櫻澤氏は、活動の原点であるボランティアのゴミ拾いから生まれた哲学と、それを基盤とした人材育成、事業展開について解説。 東京の山側エリアで生まれたこの挑戦は、日本の地域が持つ本質的な価値を再発見し、未来へつなぐための新たな指針を示すものとして、会場の注目を集めた。

原点は「ゴミ拾い」から「未来を創る」活動へ

万博にて登壇する東京山側DMC_櫻澤祐樹氏

東京山側DMCの活動の出発点は、2020年頃に始まったボランティアの河川清掃活動「秋川リバークリーンアップ」である。櫻澤氏は、当初感じていた「誰がゴミを捨てたのか」という憤りが、活動を続ける中で「我々のライフスタイル自体を見直すきっかけ」へと昇華したと語る。

この活動は単なる清掃にとどまらず、自然の豊かさに触れ、課題の本質を共に考えるコミュニティを形成した。現在の主要メンバーの多くが、この活動を通じて集った仲間であるという。櫻澤氏は、活動の最終目標は目の前の川をきれいにすることではなく、「ゴミという概念がない未来」を創ることだと強調した。

日本の価値の根源「ジオ風土」と次世代育成

櫻澤氏は、日本の豊かな自然と文化の根源は、複雑な地質がもたらす地形、気候、生態系の多様性にあると説く。同社は、この土地の土と水、そして人の営みが織りなす唯一無二の価値を「ジオ風土」という新たなコンセプトで提唱している。

しかし、多くの日本人が自国の「足元の宝」を見過ごしている現状に、同氏は警鐘を鳴らす。この課題に対し、同社が注力するのが探究型自然体験学習スクールを通じた人材育成だ。目指すのは、知識の詰め込みではなく、フィールドでの一次情報から本質に気づく「なぜを見つける力」を育むこと。そして、自らの言葉で日本の魅力を世界に発信できる「真の意味でのグローバル人材」を育成することである。

持続可能な地域経営の鍵、「六方よし」という哲学

多様な活動を支える経営哲学が、独自の「六方よし」だ。これは、近江商人の「三方よし(売り手よし、買い手よし、世間よし)」に、「未来(次世代)よし」「自然よし」「仲間(地域)よし」の三方を加えた考え方である。

櫻澤氏は、耕作放棄された田んぼを自然体験学習の場として再生させた事例を紹介した。これにより、経済的利益のみならず、生物多様性の保全、土地所有者の満足、地域雇用の創出、新たなビジネスモデルの確立といった、関わるすべてにとって良い状況を生み出した。この「六方よし」こそが、持続可能な地域経営を実現する鍵であると、同氏は力を込めた。

東京山側から全国へ、仲間と共に描く未来

東京山側DMCの挑戦は、今、新たなステージへと向かっている。東京で培ったモデルを日本全国へ展開するため、「地域創生プロデューサー養成講座」を開講し、志を共にする仲間の育成を開始した。オンラインとフィールドワークを組み合わせた講座には、国内外からすでに50名以上が参加しているという。

「我々の活動は泥臭い。でも、それだけが取り柄です」。櫻澤氏の情熱的な呼びかけは、未来を創造する万博の舞台で、多くの来場者の心に響いたに違いない。東京の山側から始まった小さな一歩は、今、日本全体の未来を動かす大きなうねりになろうとしている。


イベント概要

  • イベント名: 大阪・関西万博 環境省主催 「2030年ネイチャーポジティブの実現に向けて」
  • 講演タイトル: 東京山側からはじまるネイチャーポジティブ ~森の恵みを未来につなぐ、「六方よし」の地域づくり~
  • 日時: 2025年9月23日(火・祝) 10:30~11:30
  • 場所: 大阪・関西万博 会場内ギャラリーWEST 環境省ブース
  • 登壇者: 櫻澤 裕樹 氏(株式会社東京山側DMC 探究型自然体験学習スクール校長)

寄稿者:東京山側DMC 地域創生マチヅクリ事業部

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