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伝統工芸とマンガ文化で日欧協力強化、ANA総研とCEEJAが新協定を締結

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ANA総合研究所(ANA総研)とアルザス・欧州日本学研究所(CEEJA)は9月14日、大阪・関西万博2025のフランスパビリオンで新たな協力覚書を締結した。2015年以来の連携をさらに進展。これまでも日仏間の文化・学術・観光交流を推進してきたが、今回の新協定では伝統的工芸品やマンガ文化での連携を深めるなど欧州全域を視野に入れた展開へと歩みを進める。

調印式は、大阪・関西万博のフランスパビリオン内で開かれた

ANA総研とCEEJAの協力関係は約10年を迎える。2019年にはANAホールディングスやフランス・グランテスト地方観光局を含む「拡大版協力覚書」を締結。これまでに大館市や備前市をフランス側に紹介し協定締結につなげるなど、日本の自治体と欧州を結ぶ交流を数多く実現してきた。2023年には「日本-ヨーロッパ地域間協力ヘルプデスク」を通じて、秋田県とフィンランドが森林資源開発や再生可能エネルギー、大学交流、スタートアップ支援などを開始している。こうした地域レベルの実績が、日仏、日欧での観光や産業交流の土台となっている。

新協定の柱となるのは、日本の観光資源を欧州市場に広げる次の2つの取り組み。日本の伝統的工芸品の欧州展開事業では、読売新聞社が推進する「Action!伝統文化」プロジェクトなどと連携し、地域色豊かな日本の工芸品をヨーロッパへ届ける。観光体験と連動した販路拡大の可能性が期待される。ヨーロピアンマンガ・アニメミュージアム(MEMA)オープニングに向けた支援強化では、2027年にフランス・コルマールで開館予定のMEMAと日本各地のマンガ関連施設をつなぎ、訪日観光やコンテンツツーリズムの相互交流を促進する。「MEMAの開館支援を通じて、欧州における日本マンガ文化の拠点化を目指したい」と関係者。

当日開かれた締結式には、谷剛史秋田県副知事や読売新聞グループ本社社長室文化芸術企画部の井上晋治専門委員、フランスパビリオンのジャック・メール総監督、アルザスワイン委員会のセルジュ・フレシャー会長、ボーヴィレ社のマキシム・ボラン開発部長、元駐EU日本国大使の塩尻孝二郎氏らが出席した。秋田の伝統工芸「大館曲げわっぱバゲットコンテナ」やANA総研の「A380模型機」などが記念品として交換され、観光資源としての文化の象徴性が際立った。レセプションではアルザスワインが振る舞われ、観光と食文化の結びつきも演出された。

協定書にサインするANA総研の功刀秀記会長(左)と矢澤潤子社長

ANA総研の矢澤潤子社長は、「工芸やマンガといった文化を欧州で発信することは、日本観光の新しい魅力づくりにつながる」と述べた。CEEJAのオリヴィエ・ベシュト理事も「観光・文化・学術を含む360度の交流を欧州全体に広げたい」と意欲を示した。

ANA総研は今後も、工芸やコンテンツを軸に地域観光資源の国際展開を進め、日仏両国の観光交流と持続可能な地域づくりへの貢献を強化していく方針だ。

取材協力 ANA総合研究所

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